中国で開会中の全国人民代表大会(全人代)で、習近平指導部は6・5%以上の経済成長や「ゾンビ企業」の淘汰(とうた)、債務問題への対応、インフラ整備を中心にした景気対策など、夢のようなシナリオを並べ立てた。しかし、専門家は「嘘に嘘を上塗りしている」と指摘。経済失速と増え続ける債務、社会不安という悪夢が現実になりかねないというのだ。
新たな5カ年計画では、国内総生産(GDP)成長率目標を年平均6・5〜7・0%と幅を持たせたが、「中国の指標に対する懐疑的な見方を緩和することにはならない」と切り捨てたのは米紙ニューヨーク・タイムズ。中国は厳密な年間の成長目標を設定する唯一の主要経済国だとしたうえで、「当局は目標を達成するためにデータの改竄(かいざん)や偽造を行う」と指摘した。
相手国があるためごまかしにくい輸出入のデータをみると、今年2月の輸出額はドルベースで前年同月比25・4%と大幅な減少を記録。1月の11・4%減から大きく拡大し、リーマン・ショック後の2009年5月以降で最大の落ち込み幅となった。輸入も13・8%減で、輸出と輸入を合わせた貿易総額のマイナスは12カ月連続。