七
『龍ノ王』を運営するに際し、あまりに日本人スタッフのモチベーションが下がっていたので、Pは韓国から元々の自分の部下を呼び寄せた。Iはゲーム雑誌のライター経験がありゲームについて非常に詳しいという人物で、メガネをかけた色白のやや恰幅の良いいかにもオタクといった風貌をしていた。IはYよりもグレードが2つほど低い安アパートを借りた。なぜそんな安いところを借りたのかと聞くと、日本はゲーム大国なので、ゲームをたくさん買うことになるから、できるだけ生活費を削減したいということだった。
ある日、ローカライズ用のエクセルファイルをいじっていたIの画面を覗き込むと、オーバーレイの状態でゲームのシーンが映し出されていた。
「それは仕事中にファイナルファンタジーをやっているという状況ですか?」
「はい、そうです。一日に一度しか出現しないモンスターがいるので、それを待っているのです。」
「そうですか。その机の下に隠しているように見えるのはプレステ2ですか?」
「はい、PC版よりも操作がしやすいですし、僕はチャットをほとんどしないのでプレステ2でやっています。」
「それで、仕事は進んでいますか」
「はい、モンスターが出現したら狩らないといけないのですが、それまでは仕事に問題はありません」
Pのいる部屋に行き「あいつのファイナルファンタジーをやめさせろ」と言うのに時間はかからなかった。
次の日、オフィスには元気にファイナルファンタジーをするIの姿が!