【楽天】大震災から5年、東北で生まれ育った銀次が今思うこと「これが風化ですか?」

2016年3月10日9時0分  スポーツ報知
  • 色紙に子どもたちへのメッセージを書き込んだ銀次
  • 久米島キャンプの朝の声出しで子どもたちへメッセージを送った銀次

 楽天の銀次内野手(28)が9日、スポーツ報知のインタビューに応じ、11日で発生から5年を迎える東日本大震災について思いを語った。年月が流れる中で、震災が風化していく現状を憂慮。今季はヒーローインタビューの中で、被災地への思いを伝えていくことを誓った。また、被災した子どもたちが前を向けるように、どんな状況でも全力プレーを見せていくことを約束した。

 大きな爪痕を残した東日本大震災から5年。岩手・普代村出身の銀次にとって、「3・11」は大きなきっかけとなった。故郷は奇跡的に大きな被害を免れたが、沿岸部のダメージはその目に焼き付いている。

 「東北沿岸部出身で、だけど何もできることがない。その中で野球をやっていて、自分は野球しかできないから、野球で見せたいなというのは思いました。あれから練習をすごくするようになったし、活躍しなきゃいけないと思いました。人より多く練習したいと思ったし、努力する回数が増えた。それはすごく意識しました。今に相当つながってると思います」

 野球に打ち込むことは、銀次にとって使命だった。

 今季はもう一歩踏み込んで、東北の現状を発信していくつもりだ。時間が経過するにつれて、少しずつ忘れられていく現状は、やはり気になっている。

 「すごく感じますね、それは。テレビでやる回数も少なくなった。キャンプの声出しで、それを言おうと思ってたら、先に嶋さんに言われたんですよ。『うわーっ』って思いましたけど、でも、嶋さんも、同じようなことを考えてるんだなと思いましたね」

 野球選手として、使えるものは最大限生かすつもりだ。

 「例えばヒーローインタビューで言うとか。普通にヒーローになったときに、一番最初に被災地のことをぱっと言ったら、どうなのかな。あれ、そう言えばってなるんじゃないかと。今年はそれやります。そういうのが大事だと思います」

 考えながら話す内に、思わず言葉が漏れていた。

 「これが風化ですか?」

 東北に生まれ、東北に育ち、東北のプロ野球チームに入った。まだまだ、復興とは言い切れない現状を、自らの口で伝えていくつもりだ。

 子どもたちが抱える心の傷にも、胸を痛めている。東北沿岸部での野球教室や球場招待、石巻での夢先生など、できることは積極的に協力してきた。

 「自分は経験してないので分からないんですけど、前を向くというか。そういうのを受け入れないと…。難しいと思いますけど。想像もつかないですね。でも戻ることはできないし、進むことしかできない。それは間違いないんで。前を向いて欲しいとは思います。そのために、少しでも野球が楽しみとか、手助けになってくれたらいいですね。新しく球場も変わるし、見に来て欲しいというのはありますね」

 野球が子どもたちが前向きになる手助けになることを、心の底から願っている。

 間もなく開幕するシーズン。目指すものは、あの笑顔だ。

 「もう1回、みんなの笑顔を見たいですね。被災地であったり、仙台、東北の人たちの笑顔が見たい。サヨナラ打ったり、やっぱりまた優勝したいです。でもまあ、全力プレーですね。どんなに打てなくても、どんなに負けてても、下を向かないで前向きなプレーをするところ、そういうところを見て欲しいです」

 絶対に下は向かない。必死に、全力で、前向きにプレーする姿を、見てくれる全ての人へ届け続ける。

 ◆銀次(ぎんじ) 本名・赤見内(あかみない)銀次。1988年2月24日、岩手・普代村生まれ。28歳。盛岡中央高で高校通算24本塁打。甲子園出場はなし。05年高校生ドラフト3巡目で楽天入り。10年に捕手から内野手に転向した。11年イースタン・リーグ首位打者。13年は打率3割1分7厘で日本一に貢献。14年に自己最高の打率3割2分7厘をマークし、ベストナインを獲得した。174センチ、85キロ。右投左打。家族は夫人と2男。年俸8100万円。

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