【巨人】オーナー代行に元特捜部長・松田氏 ロッキード事件で敏腕、野球賭博問題から再出発

2016年3月10日6時0分  スポーツ報知
  • 2月の宮崎キャンプ、有害行為再発防止に関する研修会で講師を務めた松田氏
  • 1976年7月、ロッキード事件で松田検事(右)に付き添われて東京地検へ入る田中元首相

 巨人・高木京介投手(26)が野球賭博に関与していたことが新たに分かった問題で、球団は9日、フロントの新人事を発表した。引責辞任する白石興二郎オーナー(69)の後任として、読売新聞グループ本社取締役最高顧問の老川祥一氏(74)が新オーナーに就任。オーナー代行には、弁護士で元東京地検特捜部長の松田昇氏(82)が就く。球団史上初めて読売グループ外から社外取締役を招き、規律の確立に全力を尽くす。なお巨人は10日、高木京を日本野球機構(NPB)の熊崎勝彦コミッショナーに告発する。

 野球賭博問題に揺れる巨人が、再発防止を掲げてフロントの新体制を発表した。新たな取締役オーナーには、読売新聞グループ本社取締役最高顧問・主筆代理・国際担当(ジャパン・ニューズ主筆)の老川氏が就任。弁護士で元預金保険機構理事長の松田氏が取締役オーナー代行になる。球団によると、巨人が読売グループ外からの社外取締役を招くのは初めてという。

 昨年11月、野球賭博に関与した福田、笠原、松本竜の3投手が契約を解除されていたが、8日には新たに高木京の関与が判明。同日、一連の責任を取る形で、白石オーナー、桃井恒和球団会長(69)、渡辺恒雄最高顧問(89)の辞任を発表していた。事態を重く受け止めた球団は、規律の確立を目指し、迅速に新たな役員人事を固めた。

 再出発の意思表示とも言えるのが、松田氏の就任だ。76年には検察官としてロッキード事件を担当し、田中角栄元首相の逮捕に深く関わった。87年からは東京地検特別捜査部長、95年には最高検刑事部長を歴任するなど、司法の最前線に立ってきた。05年からは読売グループ本社特別法律顧問、巨人の特別法律顧問も務めてきたが、今後は陣頭指揮を執る。「おごらず、気負わず、そしてひるまず」を信条とする法律のプロは、球団のコンプライアンス強化にうってつけと言える。

 松田氏は今春の宮崎キャンプで、昨年の賭博問題を受け、球団に設置された「紀律委員会」の委員として研修会で講義した。首脳陣、選手に対し、野球賭博の問題点を法的に説明した上で「恥ずかしさの水準は一般よりもハイレベルであるべき」「自分の人生は自分で守れ」「安易に動く前に結果の重大さを考えろ」などと述べ、警鐘を鳴らした。

 また、読売新聞グループ本社代表取締役経営主幹・東京担当、読売新聞東京本社代表取締役社長の山口寿一氏(59)が非常勤取締役に就任、執行役員GM・編成本部長の堤辰佳氏(50)が取締役に昇格し、GM・編成本部長職にあたる人事も発表。新体制は11日の臨時株主総会とその後の臨時取締役会で正式決定する。

 巨人は10日に高木京をNPBの熊崎コミッショナーに告発する予定。球団には8日の会見後、この日の午後4時までに「もっと徹底的に調査しろ」など54件の電話、80通のメールがあったという。球界、そしてファンを裏切った事実を正面から重く受け止め、新体制で信頼回復を図る。

 ◆松田 昇(まつだ・のぼる)1933年12月13日生まれ。82歳。北海道出身。中大法学部卒。63年に検事に任官。ロッキード事件では東京・目白の田中角栄元首相の自宅を訪ねて出頭を要請した。東京地検特捜部長時代にはリクルート事件にも関わった。最高検刑事部長などを経て、読売新聞グループ本社特別法律顧問・読売巨人軍特別法律顧問を歴任。

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