【ワシントン=吉野直也】米大統領選の候補指名争いは8日、予備選・党員集会を続けた。首位を走る共和党の不動産王ドナルド・トランプ氏(69)は3州で勝ち、テッド・クルーズ上院議員(45)は1州を制した。トランプ氏の対抗馬の一本化が焦点となる中、未勝利に終わったマルコ・ルビオ上院議員(44)は撤退の瀬戸際に立たされている。次の15日の大票田決戦が正念場となる。
8日の共和党候補指名争いは4州で実施され、トランプ氏が南部ミシシッピ、中西部ミシガン、ハワイの3州で、クルーズ氏が西部アイダホ州で勝利した。
候補指名争いの勝敗の基準となる共和党の代議員数は2472人。過半数の1237人を獲得すれば、候補指名を得られる仕組みだ。15日は大票田のフロリダ、オハイオ、イリノイ、ノースカロライナの各州などで予備選・党員集会がある。これらの州の代議員数の合計は367人にのぼる。
8日の予備選・党員集会を終えたトランプ氏の代議員獲得数は461人(日本時間10日午前0時時点)。大票田決戦で大きく勝ち越すと、過半数にさらに近づくことになる。米メディアは、トランプ氏がこのペースで勝ち続けると、実際に過半数に達するのは5月になると予測している。
一方、民主党はヒラリー・クリントン前国務長官(68)がミシシッピ州を、バーニー・サンダース上院議員(74)は接戦を繰り広げたミシガン州をそれぞれ制した。民主党の特別代議員を含む代議員数は4765人で、過半数は2383人だ。15日の大票田決戦の代議員数を合わせると691人となる。
8日の予備選・党員集会を終了した段階でクリントン氏の代議員獲得数は1238人に達した。こちらもこの大票田決戦で大勝すれば過半数を引き寄せることになる。
共和党では暴言を繰り返すトランプ氏は党候補にふさわしくないとみる党主流派らが「反トランプ」の立場を明らかにしており、対抗馬の一本化が焦点だ。
8日の予備選・党員集会を経て2位争いは保守強硬派のクルーズ氏が一歩抜け出しつつある。伸び悩む主流派、ルビオ氏は15日の地元フロリダで敗北するような事態になれば、撤退圧力が増す可能性が高い。
民主党はクリントン氏を追うサンダース氏がこの日も粘りをみせた。長期戦に持ち込む中、勝機を探るのが基本戦術だが代議員獲得数では両氏の差は縮まっていない。