【3・11から5年】三陸鉄道・望月社長、「あまちゃん」効果に「頼らない」

2016年3月10日13時0分  スポーツ報知
  • 三陸鉄道の望月正彦社長

 岩手県の太平洋沿岸を走る三陸鉄道は、東日本大震災で甚大な被害を受けながらも2014年4月に全線復帰し、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」のモデルの一つにも選ばれて復興のシンボルとなった。線路や駅舎などに大ダメージを受けながらも、3年で全線復旧を果たした三陸鉄道。短期間で「元の姿」を取り戻したことに、望月正彦社長(64)は「優先順位を決めての復旧工事をしたことに加え、沿線住民の方の声が後押しした」と振り返った。

 震災から2日後の3月13日。状況確認のために現場に向かうと、線路の上を歩いている住民の姿があった。掛けられたのは「いつ(列車は)動くの?」の声。「街はメチャクチャなのに、『列車が先?』と思いました。聞くと『息子が学校に通わないといけないから』と言われた。それで、動かせる区間から、とにかく動かそうと思ったんです」。3月16日に北リアス線の久慈―陸中野田間11.1キロを再開。その後、14年4月まで、少しずつ営業距離を延ばしていった。

 今後は、乗客をいかにして増やしていくかが課題だ。「『あまちゃん』効果は、今もまだ一部残っていますが、それに頼っていくわけにはいかない。地元住民の利用に加え、観光客などの交流人口の拡大に寄与していきたい」。望月社長は「鉄道から始まる街作り」を思い描いている。

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