【検証 なでしこ枯れるな(下)】
チーム内でも孤立感が深まっていた佐々木監督。日本協会やコーチ人事を含め、なでしこ改革は容易ではない【拡大】
大会開幕半月前の沖縄合宿初日。佐々木監督が困惑の表情を浮かべた。
「(GKを)2人にしようか、3人にしようか迷っていた。でもAFC(アジアサッカー連盟)が3人にしてくれというので」
今大会の規定では、GKの3人制は日本が免除された2次予選時点(2015年9月)から明記されていた。チームとしての陣容や戦略を練る最終段階において、大会規定を見落とすという極めて初歩的なミスだった。
合宿中のミーティングでも指揮官が選手たちに見せたのは、自分たちの紅白戦の映像。「練習での反省を生かす」という方針だったが、対戦相手の特徴を確認したのは、試合直前にほぼ限られた。ライバル国が徹底的に日本を研究したのとはあまりに対照的だった。このバランスの欠如も、実績ある指揮官に助言できるスタッフすらいなかった証し。もはや、佐々木監督は“裸の王様”同然だった。
チームの崩壊のみならず、日本協会の女子委員会も会議をメールの回覧で済ませるなど形骸化し、協会内部からも「組織としてのガバナンス(統治)ができていない」と厳しい目を向けられている。今回の屈辱をなでしこ改革への転機にできるか。問題は山積している。=おわり (なでしこ取材班)