2016.3.10 05:00

【記者の目】調査に限界、警察の捜査に委ねる判断 他球団に拡大したら…

【記者の目】

調査に限界、警察の捜査に委ねる判断 他球団に拡大したら…

 前日8日の巨人、この日の熊崎コミッショナーはいずれも、調査に限界があることを認めた。これまで球団と日本野球機構による内部調査で自浄を目指してきたが、もはや警察による全面的な捜査に委ねるほかない、と判断したのだろう。渡辺恒雄・巨人球団最高顧問らの引責辞任も、その判断に沿ったものとみえる。

 賭博相手とされる飲食店経営者Bは巨人の調査に協力せず、高木京は「恐ろしい人」とまで口にした。昨秋の発覚以来、暴力団事件を担当する警視庁組織犯罪対策4課は捜査を続けているが、まだ立件に至っていない。末端からさかのぼり「胴元」と呼ばれる主催者に至るルートを解明しようとしている。

 高木京らは「ギャンブル」として野球賭博に関与し、現状では敗退行為(八百長)が行われたとは考えにくい。だが名前が出たのは勝敗の大部分を左右する投手ばかり。首が回らなくなるほど負けがこめば、選手が八百長に関与した「黒い霧事件」(1969年)の再現になっていたとの懸念はぬぐい去れない。

 「胴元」として暴力団など反社会的勢力が出てきたら…。他球団の選手に拡大したら…。どちらの場合でも、プロ野球全体が受けるダメージは計り知れない。だが今や、可能なかぎり目の前の霧を晴らすことが、再生への道だ。(野球デスク・加藤俊一郎)