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【社会】

広島・中3自殺 万引の生徒名を口頭で聞き、誤記

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 広島県府中町立府中緑ケ丘中三年の男子生徒(15)が、誤った万引記録に基づく進路指導を受けた後に自殺した問題で、生徒指導会議用の資料を作った教諭が、実際に万引した生徒の名前を別の教諭から口頭で伝えられたのに、誤って男子生徒の名前を記載していたことが分かった。

 学校は九日午前、全校集会を開催。坂元弘校長が、不適切な進路指導があったことや、生徒が死亡した翌日の全校集会で自殺したことを伏せ急性心不全で亡くなったと伝えていたことを謝罪した。学校は全生徒にアンケートを実施する。

 会議は別の生徒による万引があった二〇一三年十月に開かれた。誤記した教諭は口頭で報告を受けた際にメモを取っていなかった。「なぜ間違えたのか覚えていない」と話している。

 会議の場で間違いが指摘され、出席した教諭らは手元の資料を直したが、校内のサーバーに保存された元の電子データは誤った内容のまま放置された。坂元校長は八日の記者会見で「データを修正する担当者も決まっておらず、考えていなかった」と釈明した。

 生徒の自殺後、当時の教諭らの聞き取りから万引をしたのは別の生徒だったことが判明した。町教育委員会によると、非行事実があった場合、通常は指導教諭が反省文や、保護者の意見などの記録をノートに残すが、このケースは残っていなかった。

 男子生徒は、一年生の時に万引をしたことがあるとの記録を理由に志望校の推薦を出せないと担任から言われ、昨年十二月八日、両親を交えた三者懇談を欠席し、その日に亡くなった。

 遺族は「ずさんなデータ管理、間違った進路指導がなければ、わが子が命を絶つことは決してなかった」とのコメントを出し、学校側の対応を強く批判した。

 

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