史上最凶反日映画 ユダヤ人虐殺のような犯罪だと監督
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韓国で酷い反日映画が公開された。旧日本軍に蹂躙された朝鮮人少女の慟哭を描いたという慰安婦映画『鬼郷(キキョウ)』。元慰安婦の証言を基に作られたという同作品が、慰安婦問題の新たな火種になることは必至だ。
「旧日本軍は強制連行した朝鮮人少女を性奴隷にし、虐殺して燃やした」──。
韓国人元慰安婦・姜日出(カンイルチュル)氏(87)の実体験をモチーフにしたという映画『鬼郷』が2月24日に韓国で公開され、韓国人の反日感情を燃え盛らせている。
同作品の趙廷来(チョジョンレ)監督(42)は、元慰安婦が共同生活を送るボランティア施設「ナヌムの家」で出会った姜氏に取材を重ね、14年の歳月をかけて映画化にこぎ着けた。制作費はネットで出資を募る「クラウド・ファンディング」で賄われ、7万5000人を超える市民から総額約12億ウォン(約1億2000万円)の寄付金が寄せられたという。
映画は、老婆となった元慰安婦の少女時代と現在が交互に展開する構成で、強制連行に始まる“慰安婦の悲劇”が物語の中心に据えられている。
舞台は1943年の朝鮮半島。のどかな田舎町の民家に複数の日本兵が押し寄せた。目的はこの家に住む14歳の少女、チョンミン。兵士は泣きすがる両親を足蹴にし、彼女を引きずるように民家から連れ去った。連行されたのは、日本軍が支配する中国のとある慰安所。ここに集められた10代半ばの朝鮮人少女たちは、いずれも「靴工場での労働」などと騙され慰安所に送り込まれていた。
事情を呑み込めないまま慰安所に来たチョンミンは、軍医に無理やり下半身を検査され、処女であることが確認されると薄暗い個室に押し込められる。そこには年配の日本人将校の姿があった。
「14歳のヴァージンか……」
と不敵な笑いを浮かべ、彼女に襲い掛かる将校。チョンミンは必死に抵抗するが、激昂した将校に気絶するまで殴られ犯される。他の個室からも同様に、犯され泣き叫ぶ少女たちの声が響いていた。
慰安所ではこうした暴行やレイプが日常的に繰り返され、廃人同様になる慰安婦や、暴行による死者まで出たと描かれる。
「今日は生理だから許して下さい」と懇願する慰安婦を鞭で威嚇し、薄ら笑いを浮かべる兵士。戦闘に巻き込まれ死んだ少女の血染めの服を慰安婦に着せ、反応を見て楽しむ兵士もいた。
映画が進むにつれ、日本軍の非人道的行為はエスカレート。ある晩、チョンミンは、慰安婦を不憫に思う日本兵・コダマの手引きにより逃亡を試みるが、たちまち捕らえられ仲間とともに拷問にかけられる。
逃亡事件を知った将校は血まみれの彼女たちを整列させ全裸になるよう命じると、
「お前らは人間ではない。我々皇軍の欲望を満たす“メス”だ!」と言い放った。
後日、再び脱走を試みた慰安婦には死の制裁が待っていた。日本兵は逃げ惑う彼女たちを銃剣で殴打し、大きな壕の中に蹴落として次々と射殺。折り重なった遺体には油が撒かれ、無残に焼き払われた。
映画の終盤では、軍上層部から「慰安所関連の証拠隠滅」を命じられた日本人将校が、生き残った少女たちの処刑に踏み切ろうとするシーンも登場する。一列に跪かされ、恐怖に震える少女たち。日本兵がその後頭部に銃口を突き付けたまさにその瞬間、突然現れた「朝鮮独立軍」の奇襲により現場は大混乱に陥る。
戦闘が続く中、チョンミンは将校に撃たれ死亡。間一髪でその場から救出された少女は、自分だけが生き延びたことを、生涯、悔やみ続けることになった──。
以上が映画『鬼郷』の粗筋だ。非業の死を遂げたチョンミンの魂を故郷に戻す儀式など、映画ならではのエッセンスも加えられているが、制作サイドはあくまで「実話に基づくストーリー」であることを強調している。
韓国での公開に先立ち、『鬼郷』は全米各地で上映会が行われ、1月30日にはアメリカのニュージャージー州の映画館でも試写が行われた。会場には、米国初の慰安婦碑を建立した同州パリセイズパーク市のジェームズ・ロタンド市長が招かれ、「映画が完成して嬉しい。日本の安倍総理は、旧日本軍の行為と過ちを認め(韓国に)金を払った。今後もできる限り力を貸したい」と、韓国サイドへの支援を明言した。
約150人収容の会場はほぼ満員。在米韓国人に交じり、映画を鑑賞していた米国人に話を聞くと、「怒りと悲しみが込み上げた。
少女を焼いたシーンはあまりにショッキングで忘れることができない」(40代男性)という声がある一方で、「日本軍の行為は残酷で恐ろしく、慰安婦の証言が嘘とは思えない。だが、韓国人が自分の娘を業者に売ったケースもあるはずだ」(50代男性)、「日本兵の行為は非人道的だが、この映画で日本に嫌悪感を持つことはない」(50代女性)と、比較的、冷静な声が多かった。
舞台挨拶に立った趙監督は小誌の直撃取材に、 「こんな事は二度と起こって欲しくないという気持ちで、映画を作りました。日本の皆さんにも観ていただきたい」
とコメントしたが、2月5日付の『朝鮮日報』では、「(慰安婦問題を)『ユダヤ人虐殺のような犯罪』として見てほしい」とアピールした。明星大学戦後教育史研究センターの勝岡寛次氏が語る。
「映画では日本軍と慰安婦の関係が大きく歪められ、ナチスのユダヤ民族に対する扱いと同様に描かれています。趙監督は『慰安婦被害者を韓日間の問題や政治的議題にしようというものではない』と語っていますが、明らかに映画を利用した“政治的プロパガンダ”の一種。映画の上映会が行われてきた全米各地で、慰安婦像や慰安婦碑建設に一層の拍車がかかることは間違いありません」
この映画は、慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的に解決」した日韓合意の意義を踏みにじるものではないか。
※SAPIO2016年4月号