皆既日食を宇宙から見ると?驚きと納得の映像

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今日、3月9日は月食が見られました…と言っても日本のかなりの地域では雲に覆われ、直接見ることができませんでした。しかし、実はこの日食を、気象衛星「ひまわり8号」がとらえています。日食で太陽が月に隠れたところを?いえ、そうではありません。月に太陽を隠された、地球の姿をです。

日食は「月の影」

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真ん中に月の影が落ちた地球。これが日食の正体だ。(c)NICT/気象庁

この写真は情報通信研究機構(NICT)が公開している「ひまわり8号リアルタイムWeb」の画面で、気象衛星「ひまわり8号」が撮影した地球の画像です。誰でも自由に見ることができます。10時30分に撮影されたこの画像のほぼ中央に見える黒いしみのような影が、月の影です。

日食とはそもそも、月が太陽をさえぎってしまい、太陽が見えなくなる現象です。ちょうど私達が太陽を見上げながら、手で太陽をさえぎってみるのと同じことです。このとき、手の影が顔にかかっているはずですね。これと同じことが日食でも起きています。月の影にいる人達からは、太陽は月に隠れて見えません。これが日食というわけです。

ぼやけた影と部分日食

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手で太陽を隠すと顔に影が落ちる。完全に隠さないと影はぼやける。これが部分日食。フリー画像(photoAC/あとむ)

写真を見ると、月の影はきれいな円形ではなく、ぼやけていますね。これは月が地球から遠く離れているからです。

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晴れた日に手で地面に影を作ってみましょう。手を低くすると地面にはくっきりと手の形の影が落ちますが、だんだん高くすると影の形はぼやけていきます。これは、手が太陽を隠しきれず、太陽の一部が見えてしまう場所があるからです。

月の影のぼやけた部分も同じです。この場所にいる人は太陽が完全には隠れていない状態、部分日食を見ているはずです。地球から見た太陽と月の見掛けの大きさ(視直径)はほぼ同じなので、太陽と月がぴったりと重なった場所でだけ太陽が完全に隠れた状態、皆既日食を見ることができます。

もうおわかりですね。ぼやけた月の影の中央でだけ、皆既日食が見えているのです。

動いていく月の影

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左から現れた月の影。地球の自転で昼の場所がずれて行くが、月も動いていくので影の場所が動く。(c)NICT/気象庁

「ひまわり8号リアルタイムWeb」では、過去の画像も静止画や動画で見ることができます。今日の朝から画像を見ていくと、9時前頃に影が画像の左下から差し掛かり、右上へと地球を横切っていくのが見えます。これは月が地球と太陽の間を横切って行くからです。

神秘的な日食ですが、宇宙から見ればただ「月がたまたま、地球と太陽の間を横切っただけ」の現象です。でも、これを「壮大な宇宙の神秘」と考えることも、「宇宙を物理的に考える天文学」の素晴らしさと考えることもできます。いずれにせよ、今回日食を見られなかった方は、「ひまわり8号リアルタイムWeb」の映像で日食を楽しむのはいかがでしょうか。下記リンクから、スマートホンやPCで見ることができます。

ひまわり8号リアルタイムWeb(NICT)

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大貫 剛
東京都庁に技術職職員として11年間勤務後、民間宇宙開発を志して退職。ベンチャーを経て、宇宙開発や前職の経験を生かして公共事業に関する解説などの、情報発信をしている。宇宙作家クラブ会員。

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