この本を要約して超訳するなら、「良いことを考えれば良いことが、悪いことを考えれば悪いことが起こる。だから、ポジティブに生きようぜ!」という感じだ。
この本によれば、アトピーゾンビウイルスに感染したのは、それを願ったのが原因らしい。親や同級生にボコボコにされ、悪口や罵倒を浴びせられたのは、そうなることを願ったのが原因らしい。しねばいいのに。
中学の時、純真無垢なピュアボーイだったアトピーゾンビは引き寄せの法則を本気で信じた。「これで不幸から解放される!アトピーゾンビじゃなくなる。親はマトモになって、虐めはなくなって、友達が出来て、恋人が出来る人生を送れるんだ!自己啓発本すごい!自分の手で人生を切り開く!道は開ける!思考は現実化する!ポジティブシンキング!前向きに!過去は振り返らない!」
アトピーゾンビ人生に終止符を打つのだと、期待と希望と夢と無限の可能性に胸を膨らませていた。
いくら願っても、行動しても、状況は全く改善せず、そのうちに、アトピーゾンビウイルスが活発に活動を始め、体を乗っ取られ、皮膚の発熱やトロロを刷り込ませたような痒み、体中を紙でシュッと切られたかのような痛みを心ゆくまで堪能し、見事に受験失敗。結果、アトピーゾンビとして関東のゴミ高校に入学。
そして、新しい青春スクールライフは泡沫のように消えたのだった。
身辺整理の際、引き寄せの法則というクソカスナスビ本はマジックでグチャグチャに黒く塗りつぶした後、奇声を発しながら破り捨てた。断末魔の叫びが部屋中に響いた夜だった。
アトピーゾンビは嫌われる勇気を発動しなくても嫌われる。なぜなら容姿が悪いから。醜いから。キモいから。ゾンビだから。感染するから。迷惑だから。公害だから。不愉快だから。
嫌われたらどうしようなんて心配する必要はない。出会って三秒で嫌われているのだから。
思えば、十年祈り、具体的な行動にも起こしてきた。しかし、金と時間と気力と体力の無駄だった。
アトピーゾンビ人生株価が回復の兆しにあっても、突然いきなり急激にジェットコースターの如く事態が悪化し地の底に叩き付けられる。上げて落とすの繰り返し。予測不可能。さすがのデイトレーダーもアトピーゾンビ人生株取引に匙を投げた。
「どうせ、また落ちるんでしょ。何しても何も変わらない。」などもいうことは、できるだけ考えないように、生きてみたが無駄だった。
希望という甘美な味を存分に堪能した後、絶望に突き落とす。希望なんて持たなければ良かった。そしたら、無気力にならなかった。いや、なってたか。どのみち若いうちに死んでたし、どうでもいいや。
過去は変えられないけど、自分と未来は変えられる(健常者のみ)
青春・恋愛ソング漫画アニメ映画ラノベ小説。(健常者のみ楽しめる)
名言や名著は所詮健常者専用。まあ、健常者マーケットは非健常者マーケットより大きいから、健常者用の言葉や創作物を作るのは当然だし、売れるのも当然。
この世は健常者専用テーマパークだ。
「見た目は関係ない!(私は見た目で決めるけど)」
「中身を磨け!(外見がゾンビじゃ中身なんて誰も見ないけどね)」
「人生これから!何度でもやり直せる!(灰色の青春は取り返せないけどね)」
「生きてる限りいつでも青春だ!(十代の青春時代が人生のピークだけどね)」
「大人の恋愛楽しいぞ!(思春期に恋愛してないとか人生の99パー損してるけどね)」
「友達なんて簡単に作れるだろ。(人格に問題があるんじゃない?見た目もキモいし終わってるね)」
「やるべき時にやるべき事をしなかったのが悪いんでしょ?(その上見た目キモいコミュ障とか終わってる)」
「関東のゴミ高校行ったのは怠けて遊んでばっかで勉強しなかったからでしょ(見た目キモいのに勉強怠けて将来どうするんだろ。犯罪者になって私に迷惑かけなきゃいいけど)」
「あれやばくない?(気持ち悪い。外歩くなよ。引きこもっとけ。)」
いくらポジティブシンキングでプラスプラスに考えて行動しても、何も良いことは起こらなかったし、むしろ状況は悪化した。結局、アトピーゾンビウイルスの抹消という思考は現実化しなかった。
道は閉じた。閉じられたドアの扉にはロープが吊るしてあった。あの時に吊っておけば、今、この瞬間の苦しみを知らないで済んだ。損切りのタイミングをミスった。
やはり、アトピーゾンビ人生取引は難しい。これ以上、不幸借金を滞納したら気が狂いそうだ。市場から早く撤退したほうが良さそう。神に嫌われてる勇気を出して人生のロスカットをせねば。
もし、あの世というものがあるなら、自殺する人に来世を与えるほど、あの世は甘くない。多分、今以上に苦しむのだろう。しかし、この世で生きる気力はもう残っていないため、それも致し方ない。
自己啓発本は健常者専用。この世は健常者専用。
あ、訂正。
やっぱ、引き寄せの法則は本物だわ。
自殺してアトピーゾンビ人生を終わりにしたいと願ったら、学校での悪口陰口嘲笑が増えて、冷え切った家では、以前にも増してドロドロしたヘドロのような感情をぶつけてくるようになったから。