『職人気質』という言葉、使いますか?
しょくにんかたぎ【職人気質】
職人に特有の気質。自分の技能を信じて誇りとし、納得できるまで念入りに仕事をする実直な性質。
僕は食品メーカーに勤めており、技術系の仕事*1に幅広く携わってるので、工場の作業員とも仕事を共にします。
そして、僕の職場では、こう揶揄される人が何人かいます。
『職人みたいな人』
『職人さんだから…』
今日の記事は、以下のつぶやきがきっかけなので、紹介いたします。
寿司屋の職人問題を見てて思うけど、自分が長時間掛けて体得した技術を、ほんの少しでも短い時間で後輩に伝えられる人が「本物の職人」だと思うの。「いやあ、こんなこと大したことないですよ。僕は要領が悪いので、時間かかっちゃいましたけどね」そんな風に言えるようになりたい。
— らくからちゃ (@lacucaracha) 2015年11月3日
おそらく、彼のメッセージとは異なる内容ですが…
今回は、そんな『職人』という言葉の使い方について、実体験を交えながら書いていきます。
【目次】
『職人気質』の解釈
『職人ぽい』は褒め言葉?
『職人』という言葉は元々、手先の技術でモノ作りをしている人達のこと。
大工や左官から伝統工芸の職人、また精密機器メーカーの製造現場で活躍する人もいます。
この『職人』という言葉を比喩的に使用することもありますね。
緻密な作業をサラリとこなす器用な人を指すことが多いでしょうか。
ただ、悪い意味で使われることもあります。
- 『人間関係が不器用』
- 『寡黙で話しかけづらい』
- 『妥協せず、人の言うことを全く聞かない』
- 『人に任せず、全部一人でやりたがる』
- 『やりたくない仕事はやらない』
等々…。
僕の職場ではこっちの意味で使われることが多いです。
例えば、取っ付きにくいベテランの作業員さん。
何を話してもムスッとされて。
そんな時、おばちゃん達は…
『職人さんだからしょうがないのよ…』
なーんて。
コミュニケーション能力がない人を『職人』と言い換えるパターンです。
少し、本物の職人さんに失礼な話ですね…苦笑
『職人』の性格とイメージ
ドキュメンタリー番組など…
というより『職人』のキャラクターが勝手に作られるドラマや漫画の方が罪深いでしょうか。
前項で箇条書きにした『寡黙で話しかけづらい』等のイメージが先行していると感じます。
口下手で、人の話を聞かなくて、頑固で、暴力的なことも…
その反面、心根は優しくて、仕事に真摯…
しかし、悪い部分がフィーチャーされてしまうことも多いです。
マニュアル化と主体性
『見て覚えろ』から何かが生まれるのか
この記事は、寿司職人の育成方法『飯炊き3年、握り8年』について、ホリエモンのTwitterを引用した記事です。
長い期間の修行や苦労によって手に入れたものは価値がある、というのは偏見であり、寿司職人の修行というのは若手を安月給でこき使うための戯言に過ぎないというのだ。
ホリエモン「寿司職人が何年も修行するのはバカ」発言 数か月で独り立ちの寿司はうまいか? : J-CASTニュースより
まずは下働きをしながら、五感で盗んでいく…そんな指導方法です。
個人的には『非効率』だなという感想が第一に浮かびます。
伝統や慣習の中には尊重すべきものもありますが…
でも正直、ガチ職人の話であって会社員には関係ない話…
じゃなかった!
実は、今の会社の工場では、日常茶飯事”だった”んです。
製造ラインの作業で問題となっていたのが、後進が育たないこと。
特に高卒、大卒新人の出来が悪い…。
様子を見に行ったら、新人の子がボーッと立っていることがすごく多かったんですよ。
理由を聞くと、
『最初の1ヶ月はひたすら見てろって言われました…』
…
……原因究明は早かった。
どうやら、『職人』と呼ばれているベテランさんの指導方法に問題があるようでした。
『マニュアルに頼る』は悪か?
『マニュアル人間』なんて言いますね。
言われた通り、手順書通りにしか動けない人です。
ただ、僕は『業務は可能な限りマニュアル化し、効率化を図るべき』という強い思想を持っています。詳しくは後述。
まず、前章の『職人さん』に指導方針について話を聞くと…
『教えてばかりだと、自分で考えられなくなる。』
『俺もそうやって教わってきたんだ。』
うーん、問題ばかり…。
この思想を1つずつ解釈してみます。
『考える能力をつける』という逃げ道
職人さんも最初は下働きから…にインスパイアされたのかは知りません。
『最初から教えてばかりだと、考える能力が身につかない』
という言い訳を聞くことは結構多い。
大学院や、前社でも聞きましたな。
少し強い言い方をしましたが、僕には正直『指導放棄』に見えるんですよ。
既存のプロセスの習得にわざわざ時間をかける必要は無いんです。
手順化、標準化し、『作業』にできる部分はどんどん進めるべき。
大切なのは、その『土台』を元に新しいことを考え、先に進めていくことです。
ここから『自分で考えろ』を実践すれば良いのではないでしょうか。
もちろん、最初は道筋を示しながら。
『PDCAの繰り返し』で思考能力はどんどん身につきます。
現場作業に手を出すのが危険なら、ロールプレイングをさせたり、手順書を作らせたり、関連用語を調べさせたり…方法は色々あるはず。
新人が最初に覚える既存業務以外で『考える能力』が身につかない職場だとしたら、そもそも職場環境に大きな問題がありますね。
自分と同じ時間をかけて教える『無駄』
こんなことを言う人がいます。
『俺もそうやって教わってきたんだ。』
無駄!
無駄無駄無駄無駄ァッ!*2
『自分が教わって覚えたことを同じ時間をかけて教える。』
『後進が育たない』という問題で非常に多いケースです。
自分がちゃんと教えてもらえなかった苛立ちを、下の人間で憂さ晴らし。
もはや『教育』とはかけ離れた思想です。
新しいことに挑戦した先駆者が、習得に長い時間がかかるのは当たり前。
しかし、それを同じ時間かけて教えてどうする!まったくもう!
- 習得に時間がかかった項目はどこか
- 何故、習得に時間がかかったのか
- もっとも重要な工程はどこだったか
こういった点を振り返れば、時短はほぼ確!
- 3ヶ月かけて覚えたことを、3ヶ月かけて教える
- 3ヶ月かけて覚えたことを、1ヶ月で教えて、残り2ヶ月で新しい仕事に挑戦させる
どちらが『正解』でしょうか…
まとめ
理想論に終始してしまった感はあります。
後輩が育てば、自分の立場が追いやられる…
成長を促すよりも、パワハラで支配下に置きたい…
色んなコミュニティで色んな問題がありますよね。
僕は現場指導の一環で『作業の標準化』『指導方法の改善』をする必要がありましたが…
ベテランさんとのバトルは大変だった。
最終的には、なんとか形になったので良かったです。
エグい口論があったり、少しゲスい手口を使ったけど…
日本の大切な伝統工芸を守ったり、人間国宝に選ばれることもある『職人』の方達。
『職人気質』は良い意味で使っていきたいと思います。
みるおか