僕は酒の席ではもっぱらビールばっかり飲むんですが、二十歳でビールを飲み始めてこのかたただの一度も「ビール美味い」と思って飲んだことがない。
何故ビールが不味いと感じるかというと「苦い」からに他ならない。それなのにビールを飲むかというと、基本的にどの酒も「苦く」、ビール以外に食べ物と一緒に飲める酒が思い当たらないから消去法で仕方なく口に入れてるフシがある。日本酒・焼酎は飲むとすぐ気持ち悪くなるし、ワインはどの酒よりも味が嫌いで、ジントニックとかカシスオレンジなんかのカクテルは甘すぎて食事と一緒にはとてもじゃないが飲めない。
それなら酒飲まなきゃ良いのに、と思われるかもしれないがあの「酔っ払う」という行為自体は嫌いではなく、頭がボーっとして気持ち良くなる感じはむしろ好きだ。あと酔うと心が広くなり多少のことは許せてしまう。それで言うと俗に言う「酔うとブスがかわいく見える」という現象も俺は悪くはない、むしろ酔ったくらいでかわいく見えるブスはブスじゃない、ただのかわいい女の子だ、とも思う。だからウーロン茶や水はよっぽど気持ち悪くなったり、口の中が気持ち悪くならない限りはそういった場では出来る限りビールを飲み続けるようにしている。
そんな感じなのでよく言う「ビール」「発泡酒」「第３のビール」の違いがまったくわからない。味の違いはなんとなくわかるのだが、これがビールでこれが発泡酒でこれが第３のビールと言われなければ区別がつかない。むしろ「美味しさ」で言えばメーカーによっては一番搾りとかエビスなんかのビールより金麦とかクリアアサヒのほうが美味く感じてしまう時がある。特に金麦は個人的にあまり苦味が少ないと感じ、他のビールに比べゴクゴクと飲めてしまう。とはいっても、厳密に言えば基本的に「苦い」ので「美味い」わけではない。
こうやって書けば書くほど自分は「苦い」からビールが嫌いなんだなと再確認する。逆に言えばビールの苦味さえクリアすることができればビールを「美味しい」と思えるのではないかと、どこかに「苦くない」ビールはないかと思って色々探したところビールとジンジャーエールを混ぜた「シャンディガフ」、ビールとトマトジュースを混ぜた「レッドアイ」などの『ビアカクテル』なるものがあると知って挑戦してみたがダメだった。やはりジンジャーエールもトマトジュースも少し甘みがあるので食事、ピザやフライドポテトならまだいいが、特に和食や焼き肉にはイマイチ合わず、しかもそういう大衆居酒屋や、焼肉屋にはそもそもシャンディガフもレッドアイも置いていないことが多いので俺のスタンダードには成り得なかった。特にレッドアイに関してはいつかレッドアイをしこたま飲んだであろう人がエレベーターに赤いゲロを撒き散らしていたことがあったのであまり良い思い出はない。その散乱した赤い嘔吐物を見ながら「ああ、やっぱり俺はこれからの人生もビールを飲み続けるしかないんだろうな」と思った。なんか良いお酒あったら教えてください。
みたいなことを岡村靖幸の『カルアミルク』を聴きながら考えてた。この人は常に酔っ払ってる。