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大学卒業式なぜワーグナー 京大や東大、反ユダヤでも異論なく

京都大の卒業式で演奏する京都大学交響楽団(2010年3月、京都市左京区・みやこめっせ)
京都大の卒業式で演奏する京都大学交響楽団(2010年3月、京都市左京区・みやこめっせ)

 京都大をはじめ国立、私立を代表する東京、早稲田、慶応の4大学の卒業式と入学式で25年以上、ドイツの作曲家ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲」が演奏されていることが、京大白眉センターの小石かつら助教(音楽学)の調査で分かった。ワーグナーには反ユダヤ主義の著作があり、曲はナチスの宣伝に利用された。小石助教は「『反戦』や『反差別』の活動が活発な日本の大学で、ワーグナーが違和感なく受け入れられてきたことが興味深い」としているが、定着の経緯は謎のままだ。

 小石助教は、各大学や、大学から依頼を受けて演奏する学生交響楽団への聞き取りなど行った。結果、慶応大では1968年まで演奏実績をさかのぼることができた。「京大では式次第にも掲載されておらず、交響楽団の活動記録にもない。『なぜこの曲なのか』との質問には『ずっとやっているから』との答えばかりだった」(小石助教)という。大阪大などでも報告があり、4大学以外でもワーグナーを演奏する伝統がある可能性は大きい。

 調査では、各大学の交響楽団との深い結びつきも垣間見えた。多くの大学で楽団員がまず練習に取り組むのがワーグナーの曲で、一般向けの公演でも多く採用されていた。日本で最初のオーケストラは1901年の創立で、ワーグナーの名を冠した慶大の学生団体「ワグネル・ソサィエティー・オーケストラ」だった。

 ワーグナーの曲の演奏はイスラエルでは今もタブーだ。学問の府である大学の公式行事でも、歴史的経緯から議論があっても不思議ではないが、これまでの調査では、そのような形跡は見つかっていない。

 小石助教は「日本の明治期に、西洋の音楽と言えばまずワーグナーだった。西洋文化の受容の歴史が今も受け継がれているのが、4大学などの入学式と卒業式なのではないか」と分析する。

【 2016年03月09日 11時39分 】

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