ばら積み船の寿命短く-商品価格と運賃下落で廃船数が増加
2016/03/09 10:41 JST
(ブルームバーグ):鉄鉱石や石炭を運搬するばら積み船の今年これまでの廃船数が2014年通年を上回った。商品価格下落でばら積み船の寿命が短くなっている。
現金によるリサイクル向け船舶購入事業で世界最大手のGMSは、クラークソンのデータを引用し、使用年数平均21.4年のケープサイズ船舶29隻が今年に入って今月4日までに廃船処理されたと指摘。昨年は通年で93隻、14年は25隻だった。中国の需要が鈍化する中、船主会社のコモディティ運搬収益の指標となるバルチック海運指数は約30年ぶりの低水準に下落している。
GMSのゼネラルマネジャー、トーマス・アレクサンダー氏(シンガポール在勤)は電話インタビューで、「ケープサイズは運搬可能な積み荷がかなり限定されるため、ばら積み船海運市場で常に最も変動性が高い」と指摘。「ケープサイズは石炭か鉄鉱石しか運搬しない。鉄鉱石ブームのピークと海運市場が最も逼迫(ひっぱく)していた08年5月には、ケープサイズは1日当たり20万ドル(現在のレートで約2300万円)を超える収益を上げていた。今ではどの企業も損失を出している」と述べた。
中国の需要が後退する中、鉄鋼原料である鉄鉱石と石炭の価格は下落している。価格下落は海運セクターに打撃を与え、デンマークの海運会社D/Sノルデンは1月にばら積み船の評価損1億8000万ドルを計上。競合する米スコルピオ・バルカーズは保有するケープサイズ船舶を全て売却した。クラークソン・プラトー・セキュリティーズは2月の文書で、ばら積み船海運市場は「今後1年間、完全に生き残りモード」になるとの見通しを示した。
GMSによれば、ケープサイズ船舶の使用年数は通常約25年。14年に廃船処理された船舶の使用年数は24年、昨年は21年だった。
原題:Bulk Ships Die Faster and Younger as Commodity Crash Culls Fleet(抜粋)
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更新日時: 2016/03/09 10:41 JST