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女川さいがいFM 今月いっぱいで閉局…復興半ばも資金、人材限界

生放送中の「女川さいがいFM」。
生放送中の「女川さいがいFM」。女子高生パーソナリティーの阿部こころさん(右)と阿部紗季さん、奥は専任局員の阿部真知子さん
Photo By スポニチ

 東日本大震災発生の1カ月後、宮城県女川町に開局し、被災者向けの生活情報を届けてきたFMラジオ局「女川さいがいFM」が、今月いっぱいで放送を終了する。局員の大半がボランティアで、運営は限界と判断した。地元中高生をパーソナリティーに起用するなどし、全国の注目を集めた。町の復興は半ばで、局員からは「放送が終わると、女川が忘れられてしまう」と不安の声も上がっている。

 高台の町立女川小学校の校庭にある小さなコンテナハウスが、局のスタジオ兼事務所だ。

 「きょうも頑張っぺ!」。女川弁を交え、マイクの前で明るく笑う阿部紗季さん(18)は、5人いる中高生パーソナリティーの一人。

 1日に石巻工高の卒業式を終えたばかりで、4月からは、いわき明星大(福島県いわき市)地域教養学科に進学する。「あえて別の被災地を選びました。被災について、より深く知ることができると思う。“まちづくり”を学びたい」と、再び故郷の役に立ちたいと思っての決断だ。

 死者574人、行方不明者250人以上の大被害を出した大津波は、町の防災無線も流してしまった。このため臨時災害放送局として2011年4月21日、被災者に生活に必要な情報を届ける目的で同局が立ち上げられた。地元中高生の起用もあって全国的な話題となり、ももいろクローバーZら多くの芸能人が女川町を訪れた。

 活性化にひと役買ったが閉局となるのは、資金的にも人員的にも限界だったからだ。局員約30人の大半がボランティアで、運営費もカンパに頼る。数少ない専任局員の阿部真知子さん(33)は「続ける選択肢はなかった。防災無線も復旧し、局もある程度役割を終えた」。今後はインターネットを活用した情報発信などを検討中だ。

 閉局に不安の声もある。「この局があるから、町が注目され、多くの人が来ていた面があった」と話すのは技術担当の鈴木政弘さん(44)。「震災前から漁業だけではさびれていく一方の町だった。今、局がなくなり、観光客が減れば大ダメージ。女川が忘れられてしまわないか心配」と懸念する。

 仮設住宅で放送を聞いていた元リスナーで、今は局のディレクターを務める石森充さん(41)が言う。「復興、復興と聞かれますが、どこまで行けば復興でしょう?」。立ち直りつつある町の勢いは感じている。だが、この先への不安は残ったままだ。

[ 2016年3月9日 05:30 ]

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