広島県府中町の町立府中緑ケ丘中学校3年の男子生徒(当時15)が昨年12月に自殺した問題で、学校側が「生徒が万引きした」とする誤った記録にもとづき、同11月から5回、生徒への進路指導を繰り返していたことがわかった。学校側は2年前、この記録が誤りだと指摘され、会議用の紙の資料は直したものの、サーバー上の電子データを修正していなかったという。

 町教育委員会の高杉良知(りょうち)教育長、緑ケ丘中の坂元弘校長らは8日夜に会見を開き、本来なら生徒の志望する私立高校に推薦できたが、誤った記録を根拠に「推薦できないと伝え、生徒を苦しませた」と認めた。高杉教育長は「尊い命が失われるという、あってはならないことが起きた。不安や悲しみを感じた生徒や保護者、関係者に深くおわびする」と謝罪した。

 会見の説明によると、2013年10月6日、「万引きをした生徒がいる」と店から連絡を受けた学校職員は、口頭で生徒指導部の教諭に万引きをした生徒の名前を伝えた。しかし、生徒指導部の教諭は生徒指導用の資料を更新する際、フォルダーに別の生徒名を入力した。さらに同8日に教諭が配った会議資料に万引きをしていない自殺した生徒名が記載されていた。職員から誤りの指摘を受け、教諭は配布した紙の資料は直したが、フォルダーはそのままになっていた。伝達の際、教諭はメモをとっていなかったという。