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【政治】

夫婦同姓など「差別的」 国連委、日本に改正勧告

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 【ジュネーブ=共同】国連の女性差別撤廃委員会が七日公表した対日審査会合に関する「最終見解」は、旧日本軍の従軍慰安婦問題だけでなく、女性に関するさまざまな問題を取り上げた。夫婦同姓や女性の再婚禁止期間などの民法規定については、差別的だとして速やかな改正を勧告、慰安婦問題でも日本に厳しい注文を付けた。

 委員会は前回の二〇〇九年の会合でも、同様の改正を求める勧告を出した。女性差別撤廃条約の履行を迫る厳しい勧告が再び出たことで、日本政府は一層迅速な対応を迫られそうだ。一方、委員会は昨年成立した「女性活躍推進法」など前進もみられると指摘した。

 最高裁は昨年十二月に夫婦別姓を禁じた民法規定を「合憲」と判断したが、七日の勧告は「女性に夫の姓を強制している」としてあらためて改正を求めた。

 女性にだけ六カ月の再婚禁止期間を定めた民法規定については、最高裁が昨年十二月に「禁止期間が百日を超える部分は違憲」と初判断したが、勧告は「依然として女性にだけ一定期間の再婚を禁じている」として、完全な廃止を求めた。

 慰安婦問題では、ジャハン委員は昨年末の日韓合意の実行に向け「被害者中心のアプローチ」を取るよう要求。日本側は菅義偉官房長官が八日「日本政府の説明を十分踏まえておらず、遺憾だ」と反発した。

◆「慰安婦らの要求反映」 韓国、国連委見解に反論

 【ソウル=上野実輝彦】旧日本軍慰安婦問題をめぐる昨年末の日韓合意は元慰安婦への配慮が不十分だったと指摘する国連女性差別撤廃委員会の最終見解に対し、韓国外務省は八日、「被害者や(支援)団体の要求が最大限反映された」と反論し、合意を守っていく姿勢を強調した。

 外務省報道官は記者会見で「合意の過程で、被害者らの意見を反映するため最善の努力をした」と説明。「日本政府にとっても難しい合意だった」と配慮をみせた。

 韓国政府は昨年末以降、慰安婦問題で日本批判に抑制的だ。尹炳世(ユンビョンセ)外相は二日にスイスで開かれた国連人権理事会で、過去三年間訴え続けてきた慰安婦問題の解決に言及しなかった。国際社会での相互批判を控えるとの合意事項を踏まえた対応とみられる。

 朴槿恵(パククネ)大統領も「三・一独立運動」記念式典の演説で、批判を抑え日韓関係の改善を強調している。

 ただ、「当事者が納得していない」などとして合意の白紙化を求めてきた元慰安婦や支援団体は、女性差別撤廃委の指摘を受けて反発をさらに強める可能性がある。

 

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