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暴力団は市民社会と共存できない。対立抗争が市民に危害を及ぼす事態は、何…
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暴力団は市民社会と共存できない。対立抗争が市民に危害を及ぼす事態は、何としても防がなければならない。
国内最大の指定暴力団・山口組と、一部の傘下団体が脱退して結成した神戸山口組が対立抗争の状態にあると、警察庁が認定した。
昨年8月の分裂以来、両組織の対立が原因とみられる事件は20都道府県で49件を数える。
水戸市の小学校近くにある組事務所に銃弾が撃ち込まれ、津市の住宅地では組事務所に車が突っ込んだ。繁華街で双方の組関係者がにらみ合う騒ぎも相次ぐ。先月以降、こういった手荒い事件が目立ち始め、市民に不安が広がっている。
過去の暴力団の対立抗争は、幹部の殺害といった重大事件から急拡大した。今回はそうした局面に至っていないが、警察側が早めの判断で取り締まり強化に乗り出したのは妥当だろう。
暴力団同士の対立抗争となれば、暴力団対策法に基づく組事務所の使用制限や、抗争につながる組員らの行動を厳しく摘発できる「特定抗争指定暴力団」への指定が視野に入る。
12~14年には、分裂をきっかけに激しい抗争を繰り広げていた福岡県の二つの暴力団が「特定抗争指定暴力団」に初指定され、抗争終結につながった。
ただ、新たにできた神戸山口組は暴対法上の指定暴力団でなくなったため、法の規定を今すぐ適用することはできない。兵庫県公安委員会が進めている指定手続きを急ぐ必要がある。
山口組、神戸山口組とも上層部は衝突を避けるよう指示しているという。ただ、山口組は5700人、神戸山口組も2700人の構成員を全国に抱える。末端組織では資金源や人の取り合いが激しさを増し、歯止めがかかっていないようだ。
警察は地域ごとの実態把握を進め、活動を抑え込む効果的な策を講じてほしい。市民が巻き添えになりやすい銃器の押収にも全力を挙げるべきだ。
警察庁によると、全国の暴力団勢力は昨年末時点で4万6900人。この10年でほぼ半減した。高齢化が進んでいるうえ、全国で暴力団排除の動きが強まったためとみられている。山口組の分裂は、動揺する末端組員らに離脱を促す好機だ。
福岡や大阪など15都府県の警察や関係機関が今年2月、離脱者の社会復帰を支援する協定を結んだ。報復を恐れる元組員らが遠隔地で就職できるよう、後押しするという。こうした取り組みをさらに強め、暴力団を根っこから切り崩していきたい。
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