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なぜ物を捨てるのはこれほど難しいのか?
私は必要以上の物を持っています。ここ数年ずっと物を減らそうと努力してきました。それでもまだ、古いボードゲームを捨てようとするときなど、いつかまたやりたくなるんじゃないか? とつい考えてしまいます...。どうして物を捨てるのはこんなに難しいのでしょうか?
今では、私自身の持ち物は、ひと部屋に収まってしまうほどまでに減っています。マットレスさえ持ち込めば、9平方メートルしかない私の事務所でだって住めるでしょう。もし私が独身だったら、今よりずっと小さな家で満ち足りていたと思います。
それでもまだ、私は必要以上の物を持っています。
なぜこうなるのでしょうか? それを理解するにはまず、そもそも私が「なぜ」不必要な物を持っているのかを調べる必要があります。
どうして私は、もう読んでしまった本や、結局読まない本で本棚をいっぱいにしているのでしょうか? もう読んだ本をとっておく理由は、いつかまた読むつもり、たまに手にとって調べものをする、の2つしかありません。ときどき手にとって調べものをする本はせいぜい30冊程度であり、いつかまた読むつもりの本も同じくらいでしょう。では、どうして何百冊もの本をとっておくのでしょうか?
どうして私は、1~2回遊んであとはほったらかしになっているゲームを、こんなにたくさん置いておくのでしょうか? お気に入りのゲームは何十回でもやるタイプですが、持っているゲームのほとんどは、せいぜい数回遊んだ程度。きっとこれからも手を伸ばすことはないでしょう。さらに言えば、家にあるゲームの多くは、参加しているゲームサークルのメンバーの誰かが持っているものばかりです。ではどうして、私は使うあてもないゲームを全部とっておくのでしょうか?
どうして我が家のキッチンには、こんなにたくさんの調理器具があるのでしょうか? こんなに多くの鍋やフライパンは必要ないはずです。キッチンカウンター下の収納は物であふれかえっていますが、普段使うのは、せいぜい数種類の調理器具(Pyrex社のオーブン皿とか)だけだし、たいていの料理はフレンチオーブンで片付いてしまいます。ほとんどの調理器具は使われもせずにただそこにあるだけです。どうして私は使わない器具をこんなに持っているのでしょうか?
真実はこうです:持っている物を捨てるのはとても難しい。一方、新しい物を買うように自分を説得するのはとっても簡単。たとえ家の中が使わない物であふれかえっていても、この真実は変わらない。
物を捨てない、新しい物を買う、いずれにせよ誤った選択はお金の無駄を意味します。使わない本やゲーム、調理器具が棚にしまい込まれているのは、お金が棚にしまい込まれているのと同じです。使わない物を売れば、そのお金をもっと有益なことに再投資できます。また、新しい物を買うのは、すでに持っている物を使う時間が減ることを意味します。つまり、すでに持っている物を使う機会を減らすためにお金を払っているようなものです。
さらに言えば、私が持っている物のほとんどは、ほかで借りられる物ばかりです。本は図書館で借りられるし、ゲームはゲームサークルのメンバーから借りられます。もっと言えば、物をたくさん持っていると、それだけメンテナンスコストがかかります。掃除もしなければならず、物を移動させたり、模様替えをしたりするときの手間も増える一方です。
繰り返しますが、どうして私はこんなにたくさんの物を持っているのでしょうか? どうして処分しないのでしょうか?
1つは、機会損失のことを考えてしまうからです。何かを捨てようとするといつでも、将来それを使うかもしれない場面が頭に浮かびます。しかし、それが現実になることはめったにありません。
たとえば、私の家でゲームの会を開いたとして、メンバーたちが「そうだ、あのゲームをやろう!」と盛り上がったのに、私がそのゲームを捨ててしまっていたとしたら...。あるいは、料理をしていて、ある調理器具が必要になったのに、捨ててしまっていたのでその先に進めなくなる...。なんてことをつい考えてしまうのです。
別の理由もあります。単純に所有物を眺めていると喜びを感じることです。たとえ使わないものばかりだとしても、どんなゲームがあるかひとつひとつ見ていくだけでワクワクした気持ちになれます。もっとも、コレクションが半分になっても喜びは減らないとは思います。50個あるゲームが20個に減っても、感じる喜びはさほど変わらないでしょう。
もう1つの理由は、物を処分するのには労力がかかることです。家にあるものをそれなりのお金に変えようと思うと、リストを作ったり、買ってくれた人に発送したりなど、かなりの時間と労力をとられてしまいます。ガレージセールをするにしても、週末を1つ潰すことにはなるでしょう(そして実入りも少ない)。
以上のことから、次の学びが得られます。
- 腐らない物を買うときは、よくよく吟味すること。いつまでも形が残る物を買うときは、厳しく自分に問いかけねばなりません。本当にそれは必要か? 本棚にこれほど本があるのに、新しい本が本当に必要? 棚にゲームがこんなにあるのに新しいゲームが本当に必要? その新しい絵筆は本当に必要? すでに似たようなものを持っているのに、その新しい調理器具は本当に必要?
- タイミングを見ながらうまく物を処分すること。先ほど述べたとおり、物を売ってお金に変えるには大きな労力が必要となります。私は、物をうまく売れるチャンスを常にうかがっています。たとえば、ゲームの会のとき、私のゲームを買いたいという人がいれば、売るようにしています。ときどき、Craigslistで大量に売りだすこともあります。第一目的は物を悪くない値段で売ることですが、物を処分すること自体も大切な目的です。
- 体験ではなく所有に喜びを感じるのはなぜなのかをよく考えてみる。棚に物がぎっしり詰まっているのを見ると幸せを感じるのはなぜでしょうか? この喜びはどこからやってくる? どうやらそれは、欲しいものが手に入らなかった幼少時代から来ているようです。しかし、胸に手を当ててみれば、その喜びは幻想であることがわかります。物の所有が真の喜びをもたらすことはありません。喜びをもたらしてくれるのは、料理をする、ゲームで遊ぶ、などのさまざまな体験です。本当の喜びは棚に物がぎっしり詰まっていることからもたらされはしないのです。
- 物は使ってこそ価値がある。使わない物をたくさん持っているとしたら、それは、私が自分が思っているような人間ではないことを意味するのかもしれない。面白そうだと思って買った本がたくさんあるが、実際にはほとんど読んでいないとしたら、それは何を意味しているのでしょうか? おそらく、私の本の好みや関心事が、自分で思っているものとは違っているのです。別に私が悪いわけでも本が悪いわけでもありません。ただ、自分の好みと時間の使い方について、考え直す必要があるということです。
- 自分の選択が、直接的、あるいは間接的に、子どもたちの手本となることを忘れない。いつも何かを選択するときは、このことが頭に浮かびます。子どもたちは私が何をどうするかをじっと観察しています。自分の選択が子どもに何を教えることになるのか、常に意識しなければなりません。
思い出してください。良い人生とは、良い時間の過ごし方から充足感を得る人生であることを。物を所有するなら、そうした充足感をサポートしてくれるものであるべきです。充足をサポートしない物を所有する意味はありません。意味のない所有物は、あなたのお金と経済的自由を吸い取ってしまいます。意味のない所有物は、掃除や配置換えなどのメンテナンスに余計な時間をかけさせます。
では、ライフスタイルを大きく変える必要がある? そんなことはありません。今持っている物や、これから買おうとしている物について、意識を高めればいいのです。
自分がどんな目的でお金を使っているのか、また、良い人生を送るためにはお金をどう使うべきかを理解することが、勝利へのステップとなります。常にそのことを意識して生活すれば、自分と家族が幸福になるために、以前よりお金をかけずにすむようになり、時間とエネルギーをより自由に使えるようになります。
もちろん、頭でわかっていても、それを日常生活に反映させるのは簡単なことではありません。なるべく物を増やさないように、使わない物はタイミングよく処分するようにと、絶え間ない努力が必要となります。
まず、自分がなぜそうしているのかを理解すること。そして、理解するだけで終わらず、そこから得た学びを実行に移すことが重要です。
The Challenge of Getting Rid of Stuff|The Simple Dollar
Trent Hamm(原文/訳:伊藤貴之)
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