看護師として仕事をするのに、女性も男性も関係はないのは確かですが、現実問題として圧倒的に女性の多い看護師の仕事、男性看護師ならではの悩みも多いものです。
一方で、男性看護師がいて良かった!という患者さんの声もあります。女性看護師にとっても、「助かるわ」と言う場面も多い。
男性看護師、女性看護師、という概念でなく、「看護師」として自然に仕事が出来る社会を目指す過程と言える、現在の男性看護師の現状と、今後の活躍への期待をまとめてみました。
男性看護師ならではの悩みと看護師の仕事について
男性看護師も増加の傾向に有ります。しかし、看護師全体の5%~10%程度、診療科によってはもっと比率は下がります。
全体としてはまだまだ少数派の男性看護師。少数であるがゆえの悩みや、看護師の仕事は女性の職場、と言った固定観念からの仕事のやりにくさなども有りますが、男性看護師ならではの有利な点も有ります。
ナースコールで呼ばれたとき
「看護師さん(女性)を呼んでください」
と言われることが一番多いです。男性看護師がいる、ということを知らない方が多くて、看護師の仕事は女性のもの、というイメージが強いんですよね。
つらいのは、ちょっとしたことでも「あなた(男性)はいや」と言われることです。
あなた(男性看護師)は嫌!
患者さんからのナースコールで、ささっと病室に駆けつけたのは良いのですが…
「あら、看護師さんを呼んだんですけど」・・・医者と間違えられた。
ナースコールで医師が病室に行くことはありません。ナースコールで駆けつけた看護師が医師を呼びます。男性看護師もいる、ということがまだ一般的な現象となっていないからなんでしょうね。
間違えられただけで、患者さんの要望に応えられるときは、良いのですが、中には露骨に「あなたじゃなくて、(女性の)看護師さんを呼んで」と言われることも。
男に世話をされるのはまっぴらごめん、というわけです。確かに処置の内容によっては、女性の看護師にしてもらいたいこともあるので、それはそれでよいのですが、やはり頭から「男性看護師は嫌」と言われるのはつらいですね。
同僚が女性ばかり
どうしても同僚は女性が圧倒的に多くなります。看護師学校でもその状況ですから、大抵は慣れているのですが、やはりちょっとしたところで考え方の違いや、行動の違いに戸惑うことも。
特に何かで落ち込んだりした時は、気心の知れた男性の同僚が欲しくなることもあります。
恋人はナースマン、私は一人泣いています
彼女がナースの場合も、二人の時間を作る工夫は涙ぐましい努力が必要ですが、逆の立場になることも。
飲み会に行くにも、ハーレム状態ですから、彼女にしてみればあまりうれしいものではありませんね。ましてたびたびだったり、帰りが遅かったりすると…
「一人でもやもやして、泣いているんです」、「ナース仲間に言い寄られているのでは」などと不安でたまらないのかも。
同僚は、ナースマンを「彼女持ちの男性」としてみているわけでないし、「彼女がいるから誘わない」というのもおかしな話です。同僚として一緒にいるわけですから。
中には、ナースマンに気のある看護師がいる場合があるかもしれません。しかし、それに鼻の下を伸ばして付き合うような恋人だったら、別れたほうが良いかもしれませんよ。
ナースは転職も多い仕事、また別の看護師に言い寄られるかも知れません。恋人がいるのに、職場のナースを恋愛対象の女性としてみるような、お尻の軽いナースマンはやめたほうが無難です(笑)
男性看護師の活躍の場
精神科、手術室、老人介護では男性看護師は引く手あまた!
女性の患者さんが、男性看護師では言い難いことがあるように、男性の患者さんが、女性看護師には言いづらい悩みもあるものです。
女性の看護師にとっては、別に言われたとしてもふつうのコトなのですが、男性患者さんにとっては、非常に言い難いこともあります。
血圧が高くてトイレにいくのもフラフラ。導入管留置をしてもらった患者さんの話です。
導入管が前立腺を常に刺激するので、朝になると「生理現象」が誘発されて困っていました。女性の看護師には言い難く、しばらく我慢していた所、ある時夜勤が男性看護師だったので、このことを訴えると
「わかるよ!明日担当の医師に伝えておくね」
本当に助かりました。男性看護師がいてよかったと、つくづく思いましたよ。
男性看護師の職場アレコレ
看護師の仕事は幅広く、いろいろな仕事があります。精神科病院では、半数以上が男性看護師、というケースも。その他、老人ホーム、老健施設、救急隊、幼稚園や保育園、養護施設など。ショッピングモールなど人がたくさん集まる場所の救護係。等など。
正直看護師の仕事は、体力勝負のところもあり、大柄だったり、肥満の方などの看護では、女性看護師ですとどうしたって、体に無理はかかります。医療用器具も男性用のサイズが多く、女性では使いにくいことも多いですが、男性看護師なら、負担なく使用することが可能です。
また、夜勤の女性の看護師不足のため、男性看護師が歓迎されています。実際夜勤専門のアルバイトをしている男性看護師も多いです。
男性看護師の有利な点
女性に比べると、力の強いことは看護において有利な点です。寝たきりの患者さんなら褥瘡を避けるために、頻繁に身体の向きを変える必要があります。車いすに移動する補助なども行ないます。コツをつかめば力はさほど必要はありませんが、やはり男性看護師がいると、助かることが多いです。
また、精神科などは危険なことも多く、男性看護師が他の科よりも多かったりします。
男性看護師に期待
病院外研修、学会、など施設の垣根を超えて参加すると、結構多くの男性看護師に出会う機会があります。目標となる先輩男性看護師との出会いもあるかもしれません。積極的に行動することも大切です。
普段多くの女性と一緒に仕事をしているので、女性の特徴や性質などを女性よりも知ることができ、女性看護師から相談を受けたり、便りにされたり。今後も増えると思われる男性看護師は、患者さんや家族に対してだけでなく、女性看護師や医療職全体の中でも、必要とされる立場になるでしょう。
より良い看護を目指して
以前は、男性看護師が勤務する診療科は、精神神経科や手術室などに比較的限定されていました。今は特殊な存在ではなくなりつつ有り、勤務する診療科も多岐に渡っています。男性看護師の管理者も増加しているのは間違いありません。
一方、現在でも助産師資格の取得が認められていないので、婦人科などの女性特有の診療科では、男性看護師は勤務しづらい現実はあります。女性の患者さんや利用者が、女性の看護師を希望する、ということもあり、結果として勤務する範囲が限定されているのは事実です。
看護師は以前、看護婦と呼ばれていました。男性は看護人から看護士となり、2002年の法改正で男女を問わず、看護師と言う名称に改まりました。患者さんの悩みなどを男性の視点から捉えることもでき、職場内での強力や共有で、単に名称の改正だけでなく、患者さんにとって、より良い看護を目指せます。
看護師は女の仕事
この固定観念は、男社会が作り出したといえます。古来から世界中で、老人や病人の世話は女の仕事として、「看護婦」という職業が確立してきたときも、看護婦の社会的地位は低いものでした。
その後数々の先輩たちのおかげでだいぶ見直されていますが、まだまだ男性社会。看護師は女性の仕事、というイメージが変わるには、まだ時間がかかるのかもしれません。
まとめ
患者さんやご家族に、名前で読んでもらえた時って、嬉しいんですよ。看護師って、人数が多いし、日替わりで処置などをするのでなかなか名前まで覚えてもらうことはなく、基本的に「看護師さん」と声をかけられますから。
男性、女性という意識の壁が無くなり、男性看護師が、ごく自然に看護師の仕事ができるようになると、看護の仕事もいろいろな面で変わっていくかもしれません。
「ナースのひとりごと」~今日も1ページ