Updated: Tokyo  2016/03/08 14:33  |  New York  2016/03/08 00:33  |  London  2016/03/08 05:33
 

日本国債600兆円超がマイナス利回り、わずか2カ月で倍に膨らむ

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    (ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁によるマイナス金利政策を受け、利回りがマイナス圏に沈んだ国債の規模は600兆円を超え、昨年末の2倍に達している。国内金融機関の金利収益の確保は一段と厳しさを増している。

ブルームバーグの試算によると、期間2年以上の国債残高の4分の3程度は利回りがゼロ%以下。一方、残高全体のうち、利回りがプラス圏の国債は、6%近くを日銀が保有し、22%足らずが流通市場に出回っている。財務省が1日実施した10年債入札では落札利回りが初めてマイナスになった。

UBS証券の井川雄亮デスクストラテジストは「日銀の政策で唯一、一貫しているのは金利を押し下げていることだ」と言う。景気やインフレ期待の押し上げ効果は不透明だが「国債市場における日銀の影響は圧倒的に大きい」と指摘。「マイナス金利政策とともに、国債保有額を年80兆円増やす爆買いも金利を押し下げる両輪だ」と述べた。金利の大幅な低下を受け、きょうの30年債入札は厳しい結果になるとみている。

黒田総裁は7日の講演でマイナス金利政策で、金利低下による金融機関の収益に対する下押し圧力は「避けられない」と認めた。現時点では現在の政策を着実に推進していくが、必要なら量、質、金利の3次元で追加緩和を考えると言明。同政策は「株安・円高の方向に力を持っているはずだ」と述べた。

日銀は1月末、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部に0.1%のマイナス金利を適用する追加緩和を決定。イールドカーブの起点を押し下げ、巨額の国債購入とともに、金利全般により強い下押し圧力を加える方針で、必要に応じて追加利下げもあり得るとしている。

この日銀によるサプライズ緩和以降の国債相場は、新発2年物利回りがマイナス0.25%、5年物がマイナス0.265%と過去最低を記録。長期金利の指標となる新発10年物利回りはマイナス0.075%まで下げた。利回りがプラス圏にあるのは超長期物のみとなり、20年物は0.415%、30年物は0.68%、40年物は0.78%を付け過去最低を更新している。

財務省が8日に実施した発行額8000億円程度の30年利付国債の入札では、表面利率が0.8%と、2003年5月に記録した過去最低の1.1%を下回った。2月9日に行われた前回の入札では、表面利率は1.4%だった。

メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、最近の国債利回り低下はマイナス金利政策の導入がきっかけだが、そもそも量的・質的緩和による国債の巨額購入が効いていると指摘し、「両方の政策による金利低下とフラットニングの圧力は今後も続く」と読む。流通市場での国債取引は「さらに細り、キャピタルゲイン狙いの売買が占める割合が高くなる。普通の国債投資家はあまり触りたくないだろう」と言う。

市場機能は「低下」

日銀は2%の物価目標を達成するため、マネタリーベースを積み増す「量的・質的金融緩和」を13年4月に導入。翌年10月末の追加緩和で国債保有増を年80兆円に拡大し、昨年12月には買い入れの平均残存期間を7-12年程度に長期化するなどの補完措置も加えた。量的・質的緩和は今後もマイナス金利と併用していく方針だ。

日銀の資金循環統計によると、国庫短期証券と国債・財融債の合計である国債等の発行残高は昨年9月末時点で1040兆円。日銀はその30%を抱える最大の保有主体だ。異次元緩和が始まる前の13年3月末の13%から2.3倍拡大している。メリルリンチ日本証の大崎氏は、日銀の保有比率が今年末に42-43%、来年末には5割程度に達すると予測する。

国債市場では取引が低迷している。日銀によると、先月公表した国債市場の流動性指標では、ディーラーの対顧客取引高は10-12月期に月15兆円程度とピーク時の3分の1近くに減り、取引高を発行残高で割った回転率は約2%とデータでさかのぼれる05年以降で最低となった。ディーラー間の取引高も初めて40兆円を割り込み、回転率も5%を下回って過去最低を更新した。

また、日銀がマイナス金利政策導入の発表後に実施した債券市場サーベイでは、金融機関の41%が市場機能が低いと回答。「さほど高くない」が54%だった。3カ月前に比べて「低下した」と回答した割合は69%、改善したとみる金融機関は皆無だった。

日本証券業協会の統計によると、都市銀行と信託銀行、生損保の国債売買高は15年11月に合計14.9兆円とデータでさかのぼれる04年以降で最低を記録。異次元緩和が始まる前の13年3月の水準から5割を超える減少となっている。直近の1月も17兆円と低迷が続いている。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net;東京 Kevin Buckland kbuckland1@bloomberg.net;シンガポール Masaki Kondo mkondo3@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:崎浜秀磨 ksakihama@bloomberg.net; Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典, 青木 勝

更新日時: 2016/03/08 12:32 JST

 
 
 
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