公務員保育士の給与削減だけでなく民間保育士に対する給与補助も打ち切りました。以下説明。
大阪市には『民間社会福祉施設従事職員給与改善費』という補助金がありました。
これは公務員保育士と民間保育士の待遇差が著しく広がらないよう一定額を補助する制度で、わずかながらも民間保育士の給与水準を引き上げることにつながっていました。決して十分とはいえませんが文字通りの「税金を突っ込んで給料を上げる」施策です。
しかし、昭和48年度から実施されていたこの制度を、橋下氏は「市政改革プラン」の一環として廃止しました。「公務員保育士の給与を民間並みに下げたので民間保育士の待遇改善は必要ない」というロジックです。
http://www.city.osaka.lg.jp/shiseikaikakushitsu/cmsfiles/contents/0000163/163563/02-2_13-16.pdf
このように、橋下氏が大阪市政において行ったのは「公務員保育士の給与の引き下げ」だけではありません。元々あった「税金を突っ込んで給料を上げる」施策も廃止してしまったわけです(なお、これ以外にも1歳児保育特別対策費や福祉施設水道料金減免制度の廃止などが行われたため保育士の人権費はさらに圧迫されることになりました)。少なくとも当時の彼が「公務員保育士の給与は下げるが民間保育士の給与は(税金を突っ込んでも)上げる」という考えをもっていなかったことは明らかでしょう。
このことはtogetterの最後でしっかりと指摘されています。
https://twitter.com/fckisn/status/706808031544086528
にもかかわらず「公務員と民間は別物だから~」というような擁護をするのは的外れだと思う次第です。
はてなブックマーク - 橋下「保育士は税金使って給料上げろ」→「え?」 - Togetterまとめ
※おまけ
大阪市の保育士と幼稚園教員の平均給与は、ことし4月現在、月額約37万円ですが、「高すぎる」という指摘を受け、大阪市人事委員会は、市内にある、ほとんどの民間の保育所と幼稚園を調査し、橋下市長に報告しました。
この中で人事委員会は、市の保育士などの給与水準は、一部の年齢層を除いて、民間を上回っているとして、較差の解消を検討するよう求めました。ただ、市と民間では、保育士の年齢など、組織や人事の構造が大きく異なっているとして、直接的に、民間に合わせて引き下げることには慎重であるべきだとしています。
これに対し、橋下市長は、「今回、初めて民間との比較を行ったが、報告を踏まえて、新たな給料表を作っていきたい」と述べ、市の保育士などの給与水準を見直す方針を示しました。一方で、
「民間の給与が低すぎるから引き下げに慎重になれというのは、腹に落ちない」
と述べ、報告の仕方に注文をつけました。