【北京=大越匡洋】中国人民銀行(中央銀行)は7日、2月末の外貨準備高が3兆2023億ドル(約364兆円)となり、前月に比べ286億ドル減ったと発表した。4カ月連続で減少したが、1月まで月1千億ドル前後減っていたのと比べて減少額が大きく縮小した。米国の追加利上げ観測が後退し、人民元の下落圧力が一時的に緩んだことが大きいとみられる。
中国の外貨準備高は世界最大だが、2015年通年で約5千億ドル減少。4兆ドルに迫った14年6月のピーク時と比べると、足元では約2割減った。ユーロ安などで評価額が目減りしたほか、人民銀が急激な元安を食い止めるために元を買い支える為替介入で外貨準備を取り崩してきたためだ。
ただ、2月は元相場の下落圧力が緩んだ。中国は2月に1週間にわたる春節(旧正月)の連休があり、市場が閉じていた。さらに春節の連休中、米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ観測が大きく後退した。人民銀も春節明けに対ドルの元取引の基準レートである「基準値」を元高方向に引き上げ、投機筋による元売りをけん制した。
海外への資本流出の勢いが鈍り、外貨準備の減少ペースが緩んだ格好だ。もっとも、中国経済の先行き不安はなおくすぶる。再び米国の利上げ期待が強まれば、大規模な元売りや資本流出の動きが再燃する恐れはある。
中国国家統計局は7日公表したリポートで「必要なときには国際的な資本の動きを制限する措置を検討すべきだ」と指摘。投機的な為替取引に課税する「トービン税」の導入を例に挙げた。