『NHK連続テレビ小説 天花 完全版 DVD‐BOX 第3集』/NHKエンタープライズ
2013年度前期の『あまちゃん』(能年玲奈主演)以降、NHK連続テレビ小説(通称、朝ドラ)が元気だ。『あまちゃん』から、14年度後期の『マッサン』(玉山鉄二&シャーロット・ケイト・フォックス主演)まで、平均視聴率は4作連続で20%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の大台を超えた。15年度前期の『まれ』(土屋太鳳主演)こそ、平均19.1%に終わったが、現在放送中の『あさが来た』(波瑠主演)は絶好調。週平均視聴率は、第1週から21週連続で20%超。第6週以降に至っては、週平均23%を超える高い視聴率をキープしている。
そんな中、ヒロインたちは朝ドラをきっかけに大ブレークした女優もいれば、下降線をたどった女優もおり、まさに悲喜こもごも。そこで、今回は、「ほとんど消えた」といってもいい朝ドラヒロインたちをピックアップしてみた。
つい最近、ある元朝ドラヒロインがBS放送WOWOWの連続ドラマ『きんぴか』(中井貴一主演)に、金髪&露出度の高いドレス姿でキャバクラ嬢役を演じていた。彼女は、04年度前期の『天花(てんか)』でヒロインを務めた藤澤恵麻(えま=33)。『きんぴか』にはレギュラーではなく、第3話のみの端役での出演だった。
藤澤は01年、ファッション雑誌「non‐no」(集英社)の「第32回モデルオーディション」でグランプリに輝き、同誌の専属モデルとしてデビュー。03年にセブンス・アヴェニューに移籍し、『天花』のオーディションを受けたところ、応募総数2,367人の中から選ばれた。演技経験ゼロの受験者が朝ドラのオーディションに受かることは異例。セブンス・アヴェニューは、所帯は小さいながらも、“大御所”白川由美、松嶋菜々子、井上真央らを擁する有力事務所で、「事務所の力で勝ち取ったヒロイン」との疑念も。『天花』には、今をときめく香川照之や木村佳乃らも出演していたが、平均視聴率は16.2%で、朝ドラスタート以降、当時のワースト視聴率を更新する不振だった。
朝ドラ後、藤澤は05年公開の『奇談』に、阿部寛とのW主演で、映画初出演にして初主演の抜擢を受けた。しかし、その後はこれといった活躍は見られず、二度の米国留学もあって、徐々に忘れ去られた存在に。昨年は7月期の連ドラ『ホテルコンシェルジュ』(TBS系)第7話、同8月に土曜ワイド劇場『私は代行屋!4・事件推理請負人』(テレビ朝日系)、また5月に舞台『朗読劇 私の頭の中の消しゴム 7th letter』に出演した程度で、ほとんど“開店休業”状態。元朝ドラヒロインの行く末としては、残念な結果に終わっている。
同様の元・朝ドラヒロインはほかにも多々いる。高野志穂(36)も、ほぼ演技経験なしで、02年度前期の『さくら』のオーディションに合格。ドラマ自体は、平均23.3%の高視聴率をゲットしたが、高野自身はその後低迷。連ドラでレギュラーの座をつかんだのは、地上波ではNHKのみで、06年以降は、単発の仕事しかなくなってしまった。13年6月に、名脇役・北村有起哉と結婚し、14年11月には第1子を出産。現在は主婦業に専念しているが、そのまま引退になってしまう可能性も。
仁科亜季子似の美人女優・原田夏希(31)もまた、ほとんど演技経験がなかったが、04年度後期の『わかば』のオーディションに合格。しかし、作品は平均視聴率は17.0%と低かった。朝ドラ後は、学業を優先させたこともあって、女優としてはパッとせず。08年にはNHK大河ドラマ『篤姫』に出演する機会に恵まれたが、再浮上はかなわなかった。14年7月、業界大手のオスカー・プロモーションに移籍したことで、仕事は入るようになったのか、今年1月期にはテレビ東京連続ドラマ『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』にレギュラー出演したものの、存在感はなく、インパクトは残せていない。
アイドル出身の村川絵梨(28)は、上原香代子、田野アサミ、川田由起奈との4人組ユニット「ai☆ai」「なにわキッド」「BOYSTYLE」名義で活動し、歌手デビューも果たしている。04年に女優業に進出し、同年公開の『ロード88 出会い路、四国へ』で、映画初出演で主演。05年度後期の『風のハルカ』のオーディションを受け、ヒロインの座を獲得と、村川もまた、女優の道に入ったばかりだった。平均視聴率は17.5%と、これまたイマイチ。
村川の場合は、アミューズという大手事務所所属とあって、朝ドラ後も、しばらくは連ドラレギュラーなどのオファーが入っていたが、09年あたりから、端役での出演が多くなり、連ドラも単発ばかりと下降線をたどることに。昨年は年間を通じ、映画は1本、ドラマは単発で3本、舞台は1本。仕事はなくはないが、存在感を示すような作品にはめぐり合えなかったようだ。
この4人に共通するのは、演技経験なし、またはほとんどゼロで、オーディションに合格した点だ。やはり実績がない女優が、いきなり朝ドラヒロインに祭り上げられても、実力が伴っていないため、その後苦労をしいられ、やがてほぼ「消えた」状態となっている。
近年のヒロインを見ると、12年度後期『純と愛』の夏菜、『あまちゃん』の能年のように、無名であっても、相応の下積みがあった。『マッサン』のシャーロットも米国では演技経験があり、『まれ』の土屋は『おひさま』(11年度前期)『花子とアン』(14年度前期)と2本の朝ドラに出ている。『あさが来た』の波瑠は売れていたとはいいがたいが、下積み生活が長かった苦労人である。13年度後期『ごちそうさん』の杏や、『花子とアン』の吉高由里子は、すでに実績十分だったし、次期朝ドラ『とと姉ちゃん』の高畑充希も同様だ。
かつては、素人同然の子をオーディションでヒロインに抜擢することも多かったが、結局、後に鳴かず飛ばずになってしまうのは目に見えている。ここ数年、ヒロインの選考基準が変わり、それなりの実績がある女優を選ぶようになったのは必然と言えそうだ。
(森田英雄)
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