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福島県が香港で訴え 農林水産物輸入停止見直しを
3月8日 5時22分

福島県が香港で訴え 農林水産物輸入停止見直しを
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東京電力福島第一原子力発電所の事故からまもなく5年になるのを前に、福島県は、かつて県産の農林水産物の最大の輸出先だった香港で、食の安全確保の取り組みを紹介する説明会を開き、原発事故のあと香港で続く、輸入停止の措置を見直すよう訴えました。
日本食の人気が高い香港は、福島県にとって、かつて特産の桃など農林水産物の輸出の8割を占める最大の輸出先でしたが、原発事故のあと福島を含む5県からの果物や野菜などの輸入を停止しています。
これに対し、福島県は7日に香港で食の安全確保の取り組みを紹介する説明会を開き、地元のメディア関係者を中心におよそ40人が参加しました。
県の担当者は、福島県内の大部分の地域で空間の放射線量が世界の主要都市とほぼ同じ水準に下がり、放射性物質の検査でも、去年水産物を除いて基準値を超えるものはなかったと説明し、輸入停止の措置を見直すよう訴えました。
また、県内の干し柿の生産者団体の代表は、25万本の柿の木の皮を剥いで除染を行い、3年かけて生産を再開させたと、時折声を震わせながら生産者の思いを語りました。
参加した香港の新聞社の記者は「福島という地域や農産物の検査体制についてよく知りませんでしたが、福島に対する信頼が増しました」と話していました。
福島県農産物流通課の國分健児主幹は「分からないからこそ、間違った考えやデマ、風評被害がおきます。検査の状況や農家の方々の懸命な取り組みを伝えることで、今の福島の姿を理解していただきたいです」と話していました。

香港に直接働きかける生産者も

日本の農林水産物の最大の輸出先である香港は、食の安全に敏感な消費者が多く、輸入規制の対象となっていない福島県産のコメや日本酒なども、輸入が大幅に落ち込んでいます。スーパーマーケットの食料品コーナーには、福島県産の食品はほとんどみられません。
こうした現状をなんとか変えようと、生産者の中には現地に足を運び、地元の取り引き企業などに輸入の受け入れを直接、働きかけている人もいます。
福島県喜多方市でおよそ200年続く酒造会社の社長、岩田恒典さん(62)もその1人です。岩田さんは先週も香港を訪れ、大型ショッピングモールの運営企業の担当者に、福島県の日本酒などを紹介する物産展を開かないかと持ちかけました。しかし、あえなく断られ、岩田さんは面談のあと、「『福島という名前がよくない』の一言だった。覚悟はしていたけれど残念です」と話していました。
それでも努力を続ける中、耳を傾けてくれる企業も現れるようになっています。去年の秋、香港の高級ワインの取引会社が岩田さんの日本酒に関心を示しました。岩田さんは、国際的なコンテストで入賞した実績や、厳格な検査によって安全を確保していることを粘り強く説明しました。半年近く交渉を続けた結果、この会社が岩田さんの日本酒200本余りを輸入することで契約がまとまりました。この会社からは最初は少量を輸入し、顧客に福島県産だと説明して理解が得られ、その味が評価されれば、輸入量を増やしていきたいと言われたということです。
岩田さんは「1人でも多くの友人を世界中につくって、その友人に飲んでもらう、そして、最終的に福島に来てもらえば、福島がきれいで安全で安心できる県だとわかってもらえると思います。決して諦めません」と話していました。

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