【インサイト】債券バンカーが絶滅危惧種に-アジアに干ばつ
2016/03/07 06:48 JST
(ブルームバーグ):アジアでは債券発行関連の業務を手掛けるバンカーが絶滅危惧種になっている。2015年の発行が低調だったばかりか、今年も似たようなものになりそうだ。14年の記録的発行ラッシュ後、アジア企業は銀行ローンに回帰しつつあるほか、借り入れも減らしている。
銀行にも企業の意向が伝わり、債券担当の行員を減らしたり、債券と融資の部署を合体させたりの動きが見られる。ブルームバーグ・ニュースは4日、ゴールドマン・サックスがトレーダーとセールス担当者を5%余り減らすと報じた。3日にはスイスのUBSがアジアの債券資本市場とレバレッジドファイナンス部門を統合すると発表した。スタンダードチャータードは昨年、ドイツ銀行は今年に入って同様の措置を講じた。
フィンテック(金融テクノロジー)企業がプロセスを自動化し人間の仕事をコンピューターができるようにしたことも、債券担当バンカーが絶滅する一因だ。また、債券発行の主役だった中国企業が国内での起債を選好するようになり、中国の銀行が起用されることが多くなった。さらに、中国経済への懸念でアジア企業のドル建て債の利回りが上昇、スプレッドが拡大するに伴い域内企業は銀行融資に転じた。
ただ、ブルームバーグのデータによればアジアでは今年約350億ドル(約3兆9800億円)、来年850億ドル相当のドル建て債が満期となるため、発行がゼロとなることはないだろう。多くが人民元建て債や銀行融資、株式での調達になるとしても、いくらかの借り換えはあるはずだ。
しかし、全体的なトレンドは明らかだ。アジアでは債券はもはや成長ビジネスではない。バンカーも、市場の進化について行くしかない。(クリストファー・ラングナー)
(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません)
原題:Bond Bankers Are Becoming an Endangered Species in Asia: Gadfly(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:シンガポール Christopher Langner clangner@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Katrina Nicholas knicholas2@bloomberg.net
更新日時: 2016/03/07 06:48 JST