【北海道・札幌】北海道最大のスタジアム「札幌ドーム」(札幌市豊平区)では、毎年3月上旬にボランティアによる除雪が行われます。今年も5日に除雪作業が行われました。
天然芝を育てるため屋外に
[写真]巨大な「ホヴァリングサッカーステージ」の上で除雪するボランティアら。このステージには車輪が34個ついていて、サッカーの試合時には札幌ドーム内(左手)に移動する
「ドームなのに除雪?」と思う方も多いと思いますが、札幌ドームは日本で唯一「ホヴァリングサッカーステージ」を持つスタジアムという特殊な事情があります。ホヴァリングサッカーステージとは、サッカーの試合(国際試合やJ2コンサドーレ札幌の公式戦)で使用される可動式の天然芝のステージで、野球の試合の時は人工芝を敷き詰めた球場となり、サッカーの試合の時は人工芝をはがし屋外に置いてある縦120メートル、横85メートル、重さ8300トンの巨大な芝のステージをドーム内部に移動し使用するのです。
なぜこのようなステージを採用しているのか? 実は、できる限り屋外にホヴァリングサッカーステージを置くことで、良質な天然芝を育てているからなのです。
[写真]子供たちも元気に参加
ホヴァリングサッカーステージは昨年11月末以来、屋外に置かれているので、降雪するとそのまま雪が積もってしまいます。そこで毎年この時期に、ボランティアが除雪道具を持参し除雪作業を行っているのです。
毎年、コンサドーレ札幌のホームゲーム開幕戦に合わせて行われることから、コンサドーレのサポーターの恒例行事となっています。札幌ドーム総務部総務課によると、「降雪が少なく中止した年をのぞき、2002年からボランティアによる除雪を実施しています。もちろん、多くの雪は重機で除雪するのですが、天然芝を傷つけてしまう可能性があるので、最後の仕上げは人力で除雪することにしています」とのこと。
ホーム開幕戦の勝利を願って
[写真]除雪すると天然芝が顔を出した
除雪に毎年参加しているというサポーターは「コンサドーレ札幌のサポーターにとっては“春の恒例行事”ですので、スタッフのような感覚で参加しています。今年は雪が少ないので、毎年2時間以上かかる除雪も1時間ちょっとで終わりそうですね」と話していました。
今年は老若男女200人近いボランティアが除雪に参加。13日(日)に迫るホーム開幕戦・愛媛FC戦の勝利を願いながら、除雪作業に励んでいました。
ちなみに野球場とホヴァリングサッカーステージの入れ替えは、入れ替えタイミングに当たれば「札幌ドーム見学ツアー」(有料)に参加することで観覧することができます。完全な入れ替えには10時間ほどかかるので一部を見ることになるのですが、日本では札幌ドームでしか体験できないものです。
また札幌ドームには展望台もあり札幌市内を一望できるので、スポーツの試合やイベント以外の日に訪れても楽しめる施設となっています。
(ライター・橋場了吾)