インタビュー記事の捏造が日本のサッカーメディアに蔓延。最新号の『フットボール批評issue10』で徹底追及
インタビュー記事を読んでいて、もしそのインタビューが実際には行われていないものだったら、あなたはどう思うだろうか?
2016年03月07日(Mon)14時57分配信
インタビュー記事を読んでいて、もしそのインタビューが実際には行われていないものだったら、あなたはどう思うだろうか? にわかには信じがたい話かもしれないが、実際には行われていない海外の監督や選手のエアインタビュー記事が日本のサッカーメディアに流通しているのは紛れもない事実である。
監督や選手のインタビュー記事というのは雑誌の売りになる。それが欧州で指揮する大物監督やビッグクラブでプレーするスター選手であればなおさらだ。しかし、ビッグネームのインタビューは簡単にはとれない。
そうした希少価値のあるインタビューだからこそ、メディアはあの手この手で取材を試みる。信頼の置ける記者や地道に築き上げたコネクションを使う真っ当なやり方から、高額な取材謝礼を用意したり、スポンサー絡みで行うものまで様々だが、なかには明らかに一線を越えていると思われるケースがある。それがエアインタビュー記事である。
エアインタビュー記事にはいくつかの種類がある。主なところでは、(1)海外記者が過去に取材したものなどを再構成してあたかもインタビューをしたかのように見せかけ一問一答形式に仕立て上げる。
(2)海外メディア(新聞、雑誌、TV等)に載ったコメントなどをかき集めて翻訳してインタビュー形式で構成する。(3)海外記者が「インタビューをした」と嘘をついて捏造した原稿を送ってくる。
編集部が意図してそうした記事を発注している場合は言語道断だが、(3)のようなケースの場合は編集部のチェック機能が問われる。
最新号の『フットボール批評issue10』の巻頭企画では「捏造記事を許すな」と題して、そうしたサッカーメディアに流通する海外監督や選手のエアインタビュー記事の問題を追及した。
詳細は本誌を読んでいただければと思うが、あくまで一例として、個別のインタビュー取材を受けないと言われるFCバルセロナの監督ルイス・エンリケのインタビュー記事に対して、バルセロナ広報に確認をとった上で検証も行っている。
海外の有名な監督や選手に取材を行うコネクション作りは一朝一夕にはいかない。だからこそ、真面目にその努力を積み重ねている人の仕事を“反則”で奪うようなことは許せないし、無論、読者を欺く行為でもある。モラルの欠如、質の低下を招くような慣習を放置するのは、サッカー界にとってもいいことではない。何より、そのようなことを行っている媒体にサッカーを伝えて欲しくないと、一サッカーファンとして強く思う。
一部に根強く残る悪しき慣習をなくしていくためにも、ぜひ一人でも多くの方にこの記事を読んでいただければ幸いだ。
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