清川卓史
2016年3月7日20時52分
認知症の人や家族、支援者が一緒にスポーツを楽しむ「全日本認知症ソフトボール大会」(Dシリーズ)が6日、静岡県富士宮市の静岡県ソフトボール場で開かれた。東北や関東、東海、関西など全国各地から、認知症の人約50人を含む250人が参加し、富士山のふもとで汗を流した。
認知症になってもやりたいことに挑戦したいという当事者の声からDシリーズは始まった。大会実行委と富士宮市、NPO法人認知症フレンドシップクラブの共催で、今年で3回目になる。
第1試合は「神奈川・東京エンジェルス」と「やったるで大阪!」が対戦、「大阪!」が6対3で勝利した。第2試合は地元・富士宮を中心とする「レインボーサーモン」と、愛知・新潟・奈良・兵庫の連合チーム「あゆみの会」がぶつかり、あゆみの会が3対2で勝った。その結果、最多得点の「大阪!」が優勝旗を手にした。
「かっ飛ばせー」との大きな声援を受け、試合では痛烈な当たりが何本もとびだし、応援席をわかせた。40代、50代の若年認知症の人から高齢者まで選手の年齢層は幅広い。時にはピッチャーがベンチに向かって投球したり、打撃の後も一塁に走塁しなかったりする場面もあったが、周囲が自然に笑顔でサポートしながら試合は続いていく。
48歳で認知症と診断された石川恵子さんは、レインボーサーモンの選手として参加。子どもたちのチアリーディングによる応援合戦で、石川さんは一緒に踊りだすなど満面の笑み。ベンチリポーターの質問にも「がんばります」と意欲を見せていた。神奈川・東京チームの内野手として年齢を感じさせないグラブさばきを披露した男性(82)は、「初めての参加だったので、とにかく大きな声をだそうと思っていました」と笑顔で話した。
閉会式では、当事者らが演奏するギターにあわせ「ふじの山」を全員で合唱。来年の第4回大会での再会を誓っていた。(清川卓史)
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朝日新聞社会部
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