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孤立無援の戦い

 

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※本文とは一切関係ない。単に共通項が「孤立無援」というだけ(笑)

 

前回の続きを書く。

模擬試験の結果が郵送された翌日、ワタリくんに訊いた。

「模擬試験、どうだった?」

彼は「ダメです」と投げ捨てるように言い、付け加えるかのように、

「ゆうさんはどうだったんですか?」

と訊いてきた。

俺は「俺の結果はこれだよ」と旺文社作成の判定用紙を渡したところ、彼の顔色が変わった。

「スゴイですね…僕はみんな5%でしたよ。あっ、帝京だけは15%位あったかな」

彼は力なくそう答え、用紙を俺に返した。

なるほど…どんなにできなかったとしても、模擬試験なのでさすがに「0%」という表記はないんだろうな…

「所詮は暗記試験だもの。いくら良い点数をとったとしても、本人の実力は上がらないものなんだな…。これ以上ワタリくんに試験結果を訊くのは止めよう。武士の情けだ」

そう心の中で呟きながら、彼に

「まぁ、まだ本番まで10カ月あるんだから、頑張ればいいさ」

と言ったところ、ワタリくんは、

「いや、さすがに自分のレベルが判りました。井の中の蛙です。一般入試は諦め、僕は推薦で入れるところに行くことにしました」

と自嘲しながら答えた。

コバヤシくんもワタリくんと同じような成績であり、結局、クラスから一般入試で大学を目指す者は俺だけということとなった。

 

「受験仲間ができたと喜んでたのに、これかよ(;´Д`)」

そう心の中で舌打ちして、またいつもの日常が始まった。

まぁ、それぞれ、めいめい、自分の好きな方法で大学に行けば良いさ。

 

模擬試験で、自分の客観的な力が判ったので、確信を持って更に受験勉強を重ねていこうと思った直後、ちょっとした事件が起きた。

Fさんから電話が掛ってきたのだ。

彼女は、前に在籍した県立高校時代のクラスメイトだが、「一体何の用だろう?」と思いながら受話器を握ると、「付き合ってほしい」とのこと。

「(;゚Д゚) なんだよ!こんな藪からスティックの力技って何よ!」と狼狽しながら、

「あ…ありがとう。嬉しいです。でも、今は受験があるので、そういうのを考えられる状況に無くて…あの、ごめん。今は気持ちには応えられない」と言うのが精一杯だった。

前の高校時代、彼女とは会話すらした記憶が無い。ただ、可愛い娘で、どちらかと言うと「俺には釣り合わないな」と思わせるようなヒトだった。

彼女なりに勇気を出して告白してくれたんだろうな…もしかしたら、社会人としての生活がツラいのかな…色々な想いが頭の中を駆け巡ったが、今、彼女の気持ちに応えたら、受験…確実に失敗する(;´Д`)

じゃあ、もしもマリコちゃんから「付き合ってほしい」とか言ってくれたらどうだろうう…、多分、速攻でオッケーしていただろうな…

結局、ヒトをみて判断しているに過ぎない。最低かも~!

Fさん事件で軽くミネウチを喰らった俺は、「あぁ~!彼女が欲しいなぁ…でも、今はオアズケだ。プライオリティは受験だ。恋は二の次だ」

本屋や図書館とかで、高校生のアベック(死語…笑)を見るにつけ、

「彼女なんて、大学に合格しさえすれば、いくらでも作ることができるんだから…。今は女性にウツツを抜かす時期ではないっ!」

邪念を振り払いながら、ひたすら机に向かい続けた。

 

ストレスというのは元々は工学用語で「ひずみ」を意味する。

進学後、勉強一筋から開放された俺は、一気に「あらぬ方向」に向けてひずみの解消を行おうと「迷走」することになうのだが、それについては後述する。

そして秋には再び、旺文社の模擬試験を申し込んだ。場所は立教大学、孤立無援の戦いが続く。