某官僚作家の人が「偏差値50以下の大学は廃止しろ」とツイッターで主張し、それに対して、「偏差値50は平均値だから、毎年半分ずつ大学が減っていく」とのツッコミが行われていますが、このツッコミは間違っています。どういうことか以下、説明します。
いわゆる「大学の偏差値」とは大学そのものの能力を示した数値ではありません。模擬試験を受けた受験生に偏差値を割り当て、各大学の合格ラインを推定したものです。母集団は大学ではなく、受験生になります。
2思考実験
受験生が100万人いるとしましょう。一方、全国の大学の総定員が40万人だとします。受験生全員が受ける模試があって、偏差値50の人(平均点を取った人)の順位は50万位です。一方、大学には上位40万人しか入れないのですから、「偏差値50」の人はどこの大学にも合格できません。この時、すべての大学の偏差値(合格ライン)は50よりも高くなります。
3実際にやってみると、
「偏差値50以下の大学を廃止」を実行した場合、初年度は大学が大きく減るでしょう。しかし、次年度以降、大学進学希望の受験生が減らなければ、大学の数はそのままです。偏差値50以上ない受験生はどこの大学にも合格しない状況になります。
実際は、この政策を取ると、成績下位の人たちが進学をあきらめるので、受験生の母集団の学力は高くなります。偏差値50(平均点)の学力も徐々に上がっていって、少しずつ廃校になる学校は毎年あるでしょう。しかし、「毎年、半分ずつ、大学が減っていく」ということは起きません。
大学の数を減らせいたければ、まず企業側の採用条件に「大卒以上」をつけることを法的に禁止すればいいだけ。