長崎県・長崎市が控訴
長崎の爆心地から12キロ以内で原爆に遭った「被爆体験者」161人が長崎県と長崎市に被爆者健康手帳交付申請の却下処分取り消しを求めた第2陣訴訟で、県と市は4日、原告10人への手帳交付を命じた2月22日の長崎地裁判決を不服として、福岡高裁に控訴した。
記者会見した田上富久市長は「被爆体験者の救済の観点から勝訴原告について個別案件として(手帳交付に向けて)整理できないか模索したが、国から法解釈に関わる案件として上級審の判断を仰ぐべきだとの強い要請を受けた」と説明。中村法道知事も同様のコメントを発表した。
地裁判決は、被爆者と認める基準を「年間積算線量が25ミリシーベルト以上」との基準を示し、該当すると判断した10人への手帳交付を命じた。第2陣原告団の山内武団長(72)は「早く被爆者と認めてもらいたいという被爆体験者の声に聞く耳を持たず、国の言いなりだ」と語った。敗訴原告151人も7日に控訴する方針。【樋口岳大、大平明日香】