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とあるおっさんのVRMMO活動記 作者:椎名ほわほわ
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ブルーカラーの別働隊と行動

 今日もブルーカラーの石集めに付き合う事にした。急いでやりたい事も無いし、〈妖精招来〉を鍛えるチャンスでもあるので、こちら側にもちゃんとメリットがある。戦利品で資金も稼げるから色々とおいしい。

 そして本日の面子は、自分とカザミネにエリザの顔なじみに加えて、初顔合わせとなる3名のツヴァイとは別に動いているPTにお邪魔していた。盗賊技能持ちのノーラだが、本日はツヴァイ達のほうに行っている。初顔合わせとなる3人は最初に軽く自己紹介をしてもらった。タンカー役のカナさん、槍使いのアタッカー担当のララさん、魔法使いのソルトさんだ。一応言っとくと全員女性。

 カナさんは片手剣に大盾を持ち、重鎧と一般的なタンカー装備なのだが、頭は兜ではなく新撰組がつけているような鉢がねというんだったかな? それを頭に巻いている。髪の毛は長い黒髪で本人もおしとやかな感じを漂わせている為、大和撫子のような雰囲気がある。使う武器こそ違うが、カザミネと並ぶと武士夫婦みたいな感じがする。ぜひカナさんにはなぎなたを持ってみて欲しいと思ってしまった。

 ララさんは槍を使いつつ、水魔法と光魔法を扱う魔法戦士と言ったところか? 魔法は主に回復と支援に使うようだ。装備は動きを重視して軽鎧をチョイスしているな。ちなみに髪の毛は緑色のロングヘア。本人は元気いっぱいの活発さでよく笑う。ロナと気が合いそうだなと言ってみたら、ロナっちは友人だよとのこと。

 そして3人目ソルトさんだが、地、水、火、風の4元素を扱う魔法使いだ。装備はいうまでもなく、杖とローブといういかにも魔法使いですよと言う外見。挨拶のときにフードを取って頭を下げてきたが、銀髪のショートヘアだった。そして、性格の方は普通……としか言いようがない。カナさんのような雰囲気もなければ、ララさんのように元気いっぱいでもない。本当にノーマル中のノーマルと言う感じ。今の濃い面子の中では、その普通さが個性になっているような気がする。

 そんな面子で谷に下りて本日の石探しを始めるべく、昨日カザミネたちが目をつけていた場所へと向かう。もちろん自分は《危険察知》による警戒態勢をとっている。

「下りて早々だが早速お出迎えがやってきたぞ、数は8匹と言った所かな? 方向は自分達の進行方向側だな」

 自分が敵の接近を告げると、いそいそとカナさんがPTの一番前に出る。

「それでは、私が参ります。皆様はいつも通りに、アース様はそのまま彼奴きゃつらの動向をお知らせくださいませ」

 カナさんの一言で、素早く全員が配置につく。この5人はここ数日、この固定メンバーで戦ってきたらしく動きに迷いがない。最後の一人は盗賊枠らしい。

「よぅ~し、遠慮なく串刺しにしちゃうかんね! アース君、敵の数は増えたりしてない?」

 やる気満々のララさんは槍を構えて、こちらに確認してくる。

「数は変わっていないな、あと15秒もすれば姿が見えてくる筈だ。不意打ち狙いのヘビ系も居ない」

 逐一情報をPTメンバーに伝えてゆく。自分も弓を構え、魔法使いのエリザとソルトさんが詠唱を開始する。

「見えましたよ、カナさん、行きましょうか」
「ええ、カザミネ様、参りましょう」

 武士コンビが最初に前に出る。カナさんが〈挑発〉スキルでモンスターを引きつけ、注意がそれたモンスターをカザミネが切り裂く。そのワンテンポ後に、モンスターを待ち構えていたララさんが飛び掛ってきたケイプリザード2匹を素早く槍でつく事で迎撃。地面に落ちたケイプリザードに追撃する形で、自分は矢をケイプリザードの体ににつきたてる。

「詠唱終わりました、いきます!」
「私の魔法で、大勢を決めて差し上げましょう!」

 ソルトさんのほうが一瞬詠唱完了が早く、炎の爆発がモンスターたちを襲う。その後に畳み掛けるような形でエリザの水魔法が炸裂し、モンスター達が魔法によって発生した冷たい吹雪の中で一気に凍えて縮こまる。

「私の出番が来たああああ!」

 その凍えて動きが大きく鈍ったモンスターに対し、ララさんは次々と槍の突きで猛然とラッシュをかける。さらにカザミネの大太刀も遠慮なくモンスター達に振るわれる。形勢不利と見て逃げ出そうとしているモンスターは、自分の弓矢やエリザとソルトさんの魔法で次々と塵に変わる。最後の抵抗とばかりに、ケイプバイパーがカザミネに襲い掛かろうとしたのだが。

「あらあら、おいたはいけませんよ」

 あっさりとカナさんの盾に止められて、片手剣にてばっさりと切り捨てられる。ここまで来ているだけあって、初顔合わせの3人はきちんとした実力を持っているな。ツヴァイ達の後進育成がしっかりと行われていると言う良い証拠だろう。

「終わりましたね、問題もなし、と。アースさんと組むのは久々ですが、今回も頼りにしてますよ」

 カザミネが大太刀を背中にしょった鞘に収めながら自分にそんな一言を言ってきた。ちなみに鞘は抜くタイプではなく、横から取り出すタイプのようだ。あれならば背中に鞘を収めたまま抜いたり仕舞ったりできるな。

「ま、できるだけその期待に応えるよう、こちらとしても努力はするつもりだよ」

 なので、こんな感じで返答を返しておいた。とりあえず接近するモンスターの早期発見と、地雷になっている地面の報告はしっかりとやらないとな。

「アース様は、私達のギルドのマスターであるツヴァイ様とご友人だとお聞きしておりますが、いつごろからのお付き合いなのでしょうか?」

 カナさんからの質問には大雑把に、初めて出会ったときから今までのことを説明しておく。隠すべきものもこれといってないことだし。

「へえー、かなり長いお付き合いなんですね。なぜギルドメンバーになっていないのかがちょっと不思議ですけど」

 話を聞いたソルトさんからそんな感想が出てきたので、自分のログイン時間の問題でなかなかうまく一緒に行動できないからと言う理由も教えておく。仕事の状況によっては、ログイン時間がばらつくからな……。ギルド単位で動きたいときに、あまりログインできず終わるとかになってしまったら申し訳ないもんなぁ。

「この方は、ふらっとやってきて用事が終わるとふらっと去る人ですが、こうやって時間が合う時にはなかなかの助っ人になりますから、皆さんも顔を覚えておいてくださいな。これからも恐らく何度も顔を突き合わせることになるでしょう」

 エリザは自分の事をそんな風に考えていたのか……まあ確かに、間違っちゃ居ないよなぁ。今回だって時間が合わなきゃ協力しには来なかったのは間違いないから。そういうことを考えると、ふらっとやってきて、用事が終わるとふらっと去るという表現は的を射ている……のか?

 そんな話をしながら進む事で、ようやく目的地に着いたようだ。さて、なかなかの助っ人になると紹介されてしまったからな、それなりの仕事はする事にしようかね。
スキル変化はありません。
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