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雲雀と真紅 作者:神崎真紅
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2 浮気な彼

――――学校の屋上。

真紅はひとりぼんやりと金網越しに、空を見ていた。

『シンク』
「ヒバード?恭ちゃんはどうしたの?」
『ヒバリシゴト』

…仕事か。
でも、今は恭ちゃんに会いたくない。


だって…―――

真紅の瞳に涙が浮かぶ。


「…浮気者。ばか」
「ばかって、僕の事?」


えっ??
ゆっくりと振り返ると、恭弥が立っていた。


「恭ちゃん…。何で…?」
「さっきの見てたんだね?」
「………」

言葉が出ない。
代わりに涙が零れ落ちる。

「真紅?」

恭弥が近付いて来る。

「来ないで…」

涙声で真紅が言う。
構わず真紅を捕らえる恭弥の腕。
そのまま息が出来ない程の、激しいキス…―――
真紅が振りほどこうともがくが、力で恭弥に敵う訳がない。

「んっ…はっ…」

長い長いキスの後、恭弥が言う。

「僕が愛してるのは真紅だけだよ」
「嘘…だよそんなの」
「僕の言う事信じないの?」
「だって恭ちゃんさっきあの人と何してたの…?」
「付き合ってって言われたから、断っただけだよ」

…本当はキス付きでね。
言わないけどね。

「ヒバード~!恭ちゃんの言ってる事本当?」
『ホントホント』
「ふぅ~ん。じゃあヒバードに免じて信じてあげる」


…僕の言葉よりヒバードを信じるんだ…真紅は。

「真紅、僕の事疑った罰だよ。今から応接室に連行するよ」

えっ??
嘘でしょ??


――…恭弥に嘘はなかった。


「ねぇ~、恭ちゃん?」
「何?」

――…真紅は少し考えてから、思い切って切り出した。

「本当はさっき何してたの?」

恭弥はムッとして言う。

「まだ僕の事信じてないの?」
「そんなんじゃなくて~」
「じゃ何?」

うわ……
恭ちゃんかなり怒ってる?

拙いかなぁ…?
でも…何だかすっきりしないし。

「本当の事教えてよ?」
「ふぅん。教えてもいいけど、真紅煩いだろ?」

何それ~?
やっぱり何かあるんだ。

「煩く言わないから」
「仕方ないな。さっき付き合ってくれって言われて、断ったって言っただろう?」
「うん‥」

何となく嫌な予感。

「断る代わりにキスしてくれって言われた」

――ドクン!


真紅の心臓が早鐘のように打ち出す。

「まさか恭ちゃん…?」
「あんまりしつこかったからね、軽くちょっとだけ」
「…やっぱり浮気者だよ恭ちゃんは…」

そのまま応接室を飛び出して行った。
…だから聞かない方がいいって言ったのに。

今夜はたっぷり愛してあげるよ。真紅…―――

覚醒しておきなよ。
僕に逆らう事は例え真紅でも許さないからね。
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