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異世界迷宮で奴隷ハーレムを 作者:蘇我捨恥
200/215

GRB

 色魔の成果に軽くのぼせながら、気だるい朝を迎えた。
 心地よい。
 いい気分だ。
 今は何もかもが素晴らしい。

 ベッドの柔らかさも。
 頭上から伝わってくる氷の冷気も。
 ロクサーヌの弾力のある胸も、ひんやりとしたベスタの肌も。

 昨夜見たルティナのなまめかしい身体もよかった。
 夜の海に浮かび上がる白い肌。
 艶やかな肌が俺の動きに応じて妖しくうねり、夜に溶け込むようにのたうつ。
 初めてだというのに、かなり悦んでいた。

 無論一回戦ですむわけがない。
 やっぱり色魔。
 百人乗っても大丈夫。

 いや。さすがに二十回はしていない。
 最初はせめて数回で留めておくべきだろう。
 しかし、色魔があればどこまでも走っていける。
 そういう安心がある。

「んっ」

 目を覚ました俺に、ロクサーヌが朝の挨拶をしてきた。
 昨夜の余韻を冷ますかのように、熱くなく、それでいてしっとりと献身的なキスだ。
 俺はただなすがままに受け入れればいい。

「おはようございます、ご主人様」
「おはよう、ロクサーヌ」

 たっぷりと楽しんでから口を離した。

「おはようございます」

 次にセリー。
 小さな舌の大きな献身を受け入れる。
 以下、順にミリア、ベスタと挨拶をかわしていった。

「最後はルティナです」
「はい。ロクサーヌ姉様」

 ロクサーヌに言われてルティナもやってくる。
 ベッドは六人で寝ても十分な広さがある。
 ルティナは、ベスタの隣のセリーのさらに向こうで寝たようだ。

 柔らかな唇が触れた。
 ルティナの口の動きは硬い。
 それでも拒否するような姿勢は見せないが、まだ慣れないのだろう。
 俺の舌を受け入れるので精一杯のようだ。

 今回はそれを逆手に取る。
 ルティナの舌が動かないのをいいことに、俺から舌を挿し入れ、ルティナの口の中を思う存分蹂躙した。

「ルティナもおはよう」
「おはようございます、ミチオ様」
「では着替えて迷宮に行くか」

 十分に楽しんでから、口を離して、宣言する。
 朝の挨拶は迷宮へ行くのと同じ、なんでもない日常。
 毎日のことなのだ。

 ベッドから降り、手探りと勘で装備品を着けた。
 明かりはつけていないが、毎日やっていることだ。
 今では慣れたものである。

「ありがとうございます」
「お姉ちゃん、です」

 慣れていないルティナは大丈夫だろうか、と思ったら、ミリアが手伝ったらしい。
 ミリアなら暗くても動ける。

「すみません、遅れまして。あまりやったことがないものですから」

 さすがに準備を終えたのはルティナが最後だった。
 あまりやったことがないというのは、以前は侍女に着替えさせてもらっていたのだろうか。
 ならば次は俺が着替えさせてやりたい。
 迷宮に入ってなかったから、装備品を着けたことがないということかもしれないが。

「では迷宮に移動しよう。ミリアもえらいな」

 今回着替えを手伝ったミリアは褒めておく。
 明日の夕食にフィッシュフライを一品足してやろう。

 ワープと念じ、クーラタルの二十六階層に移動した。
 今日はここからだ。
 二十六階層は昨日見学させているので、軽く様子を見ただけで、すぐに二十七階層、二十八階層と上がっていく。

「わたくしなら大丈夫です。行けます」

 二十八階層も大丈夫だということなので早々に二十九階層へと到着した。
 俺たちが現状メインで戦っている階層だ。
 ボス戦中心だが。

「二十九階層は、現状俺たちが戦っている階層になる。ここからは腰をすえて本格的に戦う。今までのようにすぐに上の階層に行くということはない」
「はい。分かりました」
「ルティナも入ったことなので、今日と明日の二日間様子を見たいと思うが、どうか」

 ロクサーヌに諮った。
 諮るというよりは、おうかがいを立てる感じか。
 二日様子を見て問題がないようなら上にいこうというのが今のルールだ。

 二十九階層のボス戦は一日やっているから、本当ならあと一日でいい。
 ロクサーヌならさっさと上がっていけと主張しかねない。
 たださすがにそれは厳しいだろう。

「そうですね。それでいいでしょう」

 ロクサーヌの承諾はいただいた。

「ではそうしよう。ルティナも、ついていけそうになかったり少しでも危険だと感じたら必ず申し出てくれ。ここからは二日ごとに一階層ずつ上がっていく」
「え?」

 ルティナが驚いている。

「どうした?」
「二日ごと、ですか」
「今日明日で何もなければ明後日には三十階層、明後日と明々後日で問題なければ、五日後に三十一階層だ」

 分かってないようなので具体的に説明した。

「二日で上がるのですか?」
「現状この階層では問題なく戦えているしな。もちろん危なくなる前にやめるつもりだ。だから、少しでも危ういと思ったら必ず言ってくれ」
「わ、分かりました」
「頼む」

 加入したばかりのルティナなら弱音も吐きやすいだろう。
 ストッパーとして期待している。

「それにしてもたった二日で階層を上がっていくのですか。なまなかなパーティーでないとは思っていましたが」
「今は余裕があるからしているだけで、必ずどこかで止まるからな」
「はい。いえ、わたくしとて」

 気合を入れなおしているみたいなので、ルティナも大丈夫だろう。
 とりあえず、戦ってみる。
 二十九階層のモロクタウルスは、ルティナでも問題ないようだった。
 所詮一階層上がっただけだし。

 ただし、全体攻撃魔法は二十六、二十七、二十八階層と浴びていない。
 ここらで受けておいた方がいいか。
 ボス戦を繰り返していく場合、ボス戦は基本的にシャットアウト狙いだからもっと上の階層まで浴びることはないかもしれない。

「二十九階層の普通の魔物相手だと、ウォーターストーム二発単位だな。魔法を使わないときはゼロ、使うときは二回で頼む」
「分かりました」

 ルティナには魔法の撃ち方も指示しておく。
 通常、モロクタウルスが相手なら、ルティナの水魔法二発で俺の雷魔法が一発減らせるようだ。
 クーラタル二十九階層に出てくる魔物と属性の組み合わせはそれほど複雑ではないので、指示を出してもいいだろう。
 モロクタウルスもサイクロプスもシザーリザードも耐性があるのは火魔法だけだ。

 二十九階層で順調に戦闘をこなした。
 俺は魔法使いをはずしているが、前と変わらないか前よりもいいペースで戦えている。
 ルティナの加入と、遊び人にセットした効果、および勇者のおかげだ。

「来ます」

 おかげで全体攻撃魔法を受けるまでに結構時間がかかってしまった。
 順調に戦えたのに順調には進めなかったという罠。

「二十九階層の全体攻撃魔法も問題なさそうか?」

 魔物をすべて片づけてから、ルティナに確認する。
 全体攻撃魔法は喰らったが、倒すのに問題はなかった。

「はい。わたくしならまだやれます」
「ボス戦だが、二十九階層からで問題ないだろうか」

 ルティナは大丈夫らしいので、ロクサーヌに諮る。
 ルティナにボス戦はまだ経験させていない。
 かといってわざわざボスの攻撃を受けさせるのも大変だし、意味もないだろう。
 基本的にボスの魔法は浴びないように戦っているのだし。

 あれ。
 ボスの攻撃魔法もたまには受けておいた方がいいのだろうか。
 まったく受けないまま上の階層に進んでいくと、知らないうちにボスの魔法が極端に強くなっていたということも。

 そんなことはならないか。
 セリーからそういう話を聞いたことはないし、ボスといっても三十三階層上に行けば普通に出てくる。
 普通の魔物の全体攻撃魔法なら、ダンジョンウォークで移動できる小部屋とボス部屋との移動途中の戦闘でたまには受けることもある。
 それを元に判断してもいいだろう。

「ここからで十分でしょう」

 戦闘に関してロクサーヌからは積極論しか出てくることはないよな。

「二日かけるのではないのでしょうか?」

 説明しようとルティナの方を向くと、彼女の方から質問してきた。
 話が早くて助かる。
 俺とロクサーヌの会話は聞いていただろうし。

「今のところ、ボス戦を二日間繰り返している」
「はい?」
「現状は余裕があると言っただろう。二日間ボス戦を繰り返して様子を見る。どのみち、ボス戦をしなければ上には行けないし」

 ボス戦を繰り返すというのは、ルティナにはちょっと驚きだったようだ。
 そういうことをするという話はあまりないのだろうか。

 ないんだろう。
 だそうだぞ、ロクサーヌ。
 ボス戦を繰り返すと言い出したのはロクサーヌだ。

「ボス部屋は向こうになりますね。そんなに距離はありません」

 通じてないけど。
 というか、ボス部屋に移動することを想定して近くで戦闘していたに違いない。

「ボス戦を繰り返すですか。ボス戦は難易度が上がると聞きましたが」
「間違ってはないです」

 ルティナはセリーと会話している。

「ボス戦を続けてやるという話は聞いたことがありません。逆に、ボス戦をまったくやらないパーティーというのは聞いたことがあります」
「うちではそういうことはしないようです。騎士団と違って誰かのフォローが受けられるわけでもありませんし」

 ボス戦をやらなくてどうやって上の階層に行くのかと思ったが、金を払えば迷宮入り口の探索者に連れて行ってもらえる。
 騎士団なんかだと、先輩や上官が実力を判断して、おまえたちはここで戦っていろと指示することもあるのだろう。
 上の階層で雑魚戦を繰り返すのも下の階層でボス戦を繰り返すのもそう違いはないような気がするが。

 魔物が大量にいる部屋に突っ込んだとか、魔物に前後を囲まれたとかの突発事故を考えれば、下の階層でボス戦を繰り返した方が安全な気がする。
 ボス戦ならば数も固定だ。

「ボス戦は気を張るので大変だと聞きました」

 精神力の問題か。

「うちのパーティーではそこまで大変ということはないです」

 なにしろボスの通常攻撃は全部引き受けて回避してくれる人がいるからな。
 安心安全安泰だ。
 セリーの言い分に間違いはない。

「二十九階層のボス程度で気を張っていてはやっていけません」

 ロクサーヌがルティナに言い放った。
 無茶振りというか何というか。
 本人はアドバイスのつもりなのかもしれない。

「ああ。いや、待った」

 ボス部屋へ先導しようとするロクサーヌにストップをかける。
 思いついた。

「何でしょう?」
「ちょっと試したいことがあるから、二十三階層のボス部屋に行こう」
「実験ですか」

 実験は大事だよ?
 まあ別にロクサーヌもあきれたように言ったわけではない。
 ただの確認だ。
 そうに違いない。

 あるいは、もはや諦めたのかもしれない。
 いや違う。
 被害妄想だ。
 こんなに可愛いロクサーヌがご主人様のことを嫌がるわけがない。

「ちょっとな。聞いて驚け見て笑え。ルティナも二十三階層からボス戦を経験しておいて悪くないだろう」
「分かりました」

 適当に言いくるめて二十三階層へ向かう。 
 雑魚どもを蹴散らし、待機部屋に入った。

「最初だし、気楽に見学からでいい。ただし、実験は失敗する可能性もあるので、戦える準備はしておいてくれ」

 ルティナにボス戦の心構えを説く。

「はい」
「ベスタには念のために剣を渡しておく。しばらくその方がいいだろう。特に今回は俺が使う可能性もある。剣をと言ったら、すぐ差し出すようにしてほしい」
「分かりました」

 デュランダルも出し、ベスタに渡した。
 ボス戦を繰り返すようになってから、事前にデュランダルは準備せずボスと戦うようにしている。
 ボーナスポイントがもったいない。
 ボスはまずほとんどミリアが石化させて終わるので、結局はデュランダルを出して始末することもあるが。

 いずれにしてもルティナが慣れるまではデュランダルがあった方がいい。
 特に今回は実験がうまくいかなければデュランダルの出番もありうるし。
 待機部屋ではその他の準備も整える。

 さっき全体攻撃魔法を浴びたとき、ルティナにメッキはかけなおさなかった。
 ボス戦では錬金術師までつける余裕はない。
 ルティナもそろそろメッキなしで大丈夫だろう。
 ボス戦はシャットアウト狙いだ。

 今回は実験だしその博徒もつけていない。
 ミリアには大変だろうがしょうがない。
 がんばってほしい。
 準備を整えると扉が開いたのでボス部屋に入った。

「ルティナはセリーのそばで待機。余裕があるようなら杖で殴ってもかまわない」
「分かりました」

 ルティナに指示を出し、俺も気を引き締める。
 煙が集まり、魔物が現れた。
 さあ始めさせてもらおうか。

「星の息吹を焼き尽くし、光の域に加速して、爆動、ガンマ線バースト」

 選択しておいたボーナス呪文を唱える。
 ガンマ線バーストだ。
 さすがに今なら発動するだろう。
+注意+
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