【ジュネーブ=共同】ブラジルなど中南米諸国で感染が広がるジカ熱が新生児の小頭症だけでなく、手足のまひなどを伴う難病ギラン・バレー症候群の発症とも関連がある可能性が最新の研究で濃厚になってきた。世界保健機関(WHO)も懸念を強めており、感染国・地域の住民に注意を呼び掛けている。
フランスのパスツール研究所などのグループが2月29日の英医学誌ランセット電子版に発表した研究結果によると、2013~14年にジカ熱が流行したフランス領ポリネシアでギラン・バレー症候群を発症した42人全員がジカウイルスの感染を示す抗体を持っていた。
また、ギラン・バレー症候群の発症率は10万人当たり1~4人程度なのに対し、仏領ポリネシアでジカ熱が流行した当時は24人程度に急増したという。
WHOでジカ熱対応チームのトップを務めるエイルワード氏は今月4日のジュネーブでの記者会見で、この研究結果によってジカウイルスがギラン・バレー症候群の発症と関連のある疑いがより濃厚になったと話した。
WHOによると、中南米を中心に世界47カ国・地域で現在、蚊に刺されて感染した患者が発生している。うちブラジルやコロンビア、エルサルバドルなど数カ国・地域でギラン・バレー症候群の症例が増加している。
エイルワード氏は、南半球では「ジカウイルスの感染が増える季節に入っている」として、感染国・地域の住民に警戒を強めるよう促した。