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【政治】

首相改憲発言、具体的に 「参院選影響」与党に異論

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 安倍晋三首相が改憲について具体的な発言を繰り返している。戦力の不保持と交戦権の否定を定めた憲法九条二項を変える必要性に言及し、集団的自衛権の全面容認や首相在任中の改憲を目指す可能性にまで踏み込んだ。与党からは、世論の割れる改憲に首相がこだわりすぎれば、夏の参院選にマイナスの影響を与えないかと懸念する声も出ている。 (新開浩)

 首相は一、二日の衆参両院の予算委員会で、改憲に相次ぎ言及した。一日は自民党が野党だった二〇一二年にまとめた改憲草案が、九条二項を変え集団的自衛権を認める内容とする点について「国際法上持っている権利は行使できるとの考え方」と、改憲による行使容認の必要性を強調した。二日には改憲の時期について「私の在任中に成し遂げたい」と意欲を示した。

 首相発言の背景については「参院選で勝負をかけるということ」「聞かれたから答えただけ」などと、さまざまな見方が出ている。自民党の谷垣禎一幹事長は四日の記者会見で「首相はいろんな野党の出方をかなり意識し球を投げている」と分析した。民主、維新、共産、社民、生活の五野党は参院選の候補者一本化など連携を模索しているが、改憲では温度差が大きい。首相は将来、野党の改憲勢力から協力を得ることも念頭に置き、当面の野党連携の分断を狙ったというのが谷垣氏の説明だ。

 首相の真意は分からないが、国民に理解が広がっていない改憲を前面に出す姿勢には与党に異論がある。

 自民党の山東昭子党紀委員長は四日の役員連絡会で「参院選前に不適切だ。マスコミや野党に首相が九条を変えたいと喧伝(けんでん)される」と指摘。伊達忠一参院幹事長も記者会見で「改憲は参院選の目玉ではない。経済から始まり、憲法は最後の付け足しだ」と、経済に重点を置いた政策論争への転換を促した。

 自民党と連立を組む公明党の井上義久幹事長は記者会見で「参院選で改憲が争点になることは考えていない」と、けん制した。

 

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