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月が導く異世界道中 作者:あずみ 圭

三章 ケリュネオン参戦編

72/180

この辺りの真の言い分

単行本七巻部分のダイジェストになります。
真の独白でごく短いものです。
 ロッツガルドという街に来て初めての秋、僕は色々と行き詰まっていた。

 例えば、ひっそり動いているつもりなのに、そこら中と揉める事になったり偉い人に目をつけられたり。

 娘の晴れ姿を見に来たレンブラントさんと学生主催のパーティとやらに行ってみれば、ローレルの物凄く偉い人らしい中宮という要職にある彩律さんと密会する羽目になったり。

 たまには羽をのばしてもらおうと巴や澪を呼んでみれば、冒険者ギルドマスターを名乗る変態、上位竜のルトが絡んできて二人が楽しむどころか一時殺気だったり。

 教え子のジンやアベリアが参加する闘技大会を眺めていれば、商人ギルドのトップで怖い職業の人にしか見えないザラ代表に追い詰められたり。

 顔も良く覚えてないような学生Aに因縁つけられた挙句、それがリミアでは結構有力らしい貴族のお坊ちゃんだった、なんて事もあったか。

 ……いや本当に碌な目にあってない。

 軽く引きこもりたいって考えるのもごくごく自然な成り行きじゃないだろうか。

 大体さ、僕は社会経験豊富な社会人でも会社人でもない。もちろん、多少妙な経歴になりつつはあるけど戦場を駆け回る歴戦の猛者でもない。

 何となくから始めた商人がそのままで上手くいって、講師の仕事の方も識に助けてもらって何とか教えている学生は人並みの力を身につけつつある。

 ただそれだけなんだ。

 そもそもギョーカイで一番になろうなんて大それた野心は持ってないし、商会の方も講師の方も結構自分のペースでのんびりやれていた、筈なんだけどね。

 お金や権威が絡む場で誰かと関わるって事は、そんな自分だけのペースで動く事を許してはくれないみたいで。

 とはいえ僕だって国政を担うような大物と関わりを持っていくのは正直しんどいってのが本音な訳で。

 家族同然の従者達の了解も得て、まあ少し落ち着くための小細工をしてみようか、などと考えながら学園祭の闘技大会を眺めている今日この頃。

 普通ってのは届かなくなって初めてその価値に気付かされる、という言葉の意味をしみじみ痛感しております。
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