法案賛否 松田公太

議題

派遣法の一部を改正する法律案

賛成

今までの日本には、社会人として働く=正社員(直接雇用・無期雇用・フルタイム雇用)という固定概念がありました。
しかし、国が実施した若年者雇用実態調査(2013年)では、いわゆるフリーター(15~34歳)の中で「正社員として働きたい」と希望しているのは半数を割って47.3%となっています。
また、派遣労働者実態調査(2012年)では「派遣労働者として働きたい」(43.1%)と「正社員として働きたい」(43.2%)はほぼ同数で、自ら派遣を選択している人も多くいます。
もはや、誰もが正社員になりたいと思っている時代ではなくなっているのです。
これまでは、同じ職場で派遣労働者として働き続けることができるのはソフトウェア開発者、秘書、旅行の添乗員など26業務に限られてきました。今回の法改正では、労働者が派遣元と期間の定めのない契約を結んだ場合、すべての業務について無期契約が認められるようになります。つまり、出来る限り派遣労働者として働き続けたいという人にとっては朗報なのです。

逆に、企業が人件費削減のために正社員を派遣社員に置き換えるのではないかとの心配(常用代替)や、それが、雇用を不安定にするのではないかとの指摘もあります。
つまり、一生派遣のまま働き続ける人たちが増えるとの懸念です。
しかし、自らそれを望んでいる人にとっては問題ではありません。
また、ことの本質は、同じ仕事をしているにもかかわらず、正社員と非正規社員で賃金水準が異なることです。同一労働・同一賃金の環境が整えば、派遣も含め、正社員以外の働き方を希望する人が更に増えるのではないでしょうか。

大切なことは、働き方の多様性を認めることです。今回の改正はそれにつながるものであるため、賛成という立場です。 もっともその結果、正社員との待遇格差が広がることは認められません。今回の法改正とは別の立法ということになりますが、今後は同一労働・同一賃金の道筋を作っていく必要があると考えています。