床並浩一
2016年3月6日06時49分
静岡県内の2015年産荒茶の生産量は前年比4%減の3万1800トンで、過去最少を更新したことが、農林水産省の統計でわかった。国内消費など需要の減少から価格が低迷し、減産を招く悪循環に歯止めがかからないことが要因。全国生産量も推計で5%減の7万9500トンにとどまり、1965年以来50年ぶりに8万トンを割り込んだ。
荒茶は製品に仕上がる前の乾燥茶葉のこと。農水省によると、県産荒茶の内訳は「一番茶」1万2600トン▽「二番茶」8220トン▽「三番茶」896トン▽「四番茶」215トン▽「冬秋番茶」9830トン。単価も最も高い一番茶は1%の増産だったが、次に量が多い二番茶が17%減と低迷したことが響いた。
静岡、鹿児島、三重、京都など主要12府県の生産量も7万6400トンと、前年より5%減った。静岡県に次ぐ鹿児島県は、8%減の2万2700トン。宮崎県は6%減の3620トン、福岡県は11%減の1940トンと九州の主産県で大幅減産が目立った。農水省は「九州地方で生育期間に天候不順に見舞われ、生育が抑制された」と指摘する。
全国生産量の4割を占め、都道府県別で首位を堅持している静岡茶だが、足元は厳しい。県などは近年、東京以外の主要都市で開く見本市のほか、輸出をにらんで単価の高い玉露や高級抹茶の生産支援などを強化。新年度予算案でも茶関連事業に3億円を超える費用を盛り込み、需要の掘り起こしや販路拡大に躍起になっているが、主力の一番茶、二番茶の単価下落が続いている。
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