【動画】教師からギンザケ養殖漁師に転職した阿部優一郎さん=金川雄策、諫山卓弥撮影
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 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市の雄勝湾で、津波の犠牲になった弟夫婦の跡を継ぎ、教師からギンザケ養殖漁師に転職した男性がいる。両親を亡くしたおいや、自らの息子のために、ふるさとに家業を残そうと奮闘している。

 山に囲まれた海の沖合に浮かぶ一辺9メートル、八角形の巨大な養殖いけすに潜ると、銀色に輝く魚群が猛烈なスピードで泳ぎ回っていた。阿部優一郎さん(45)が育てているギンザケだ。

 震災前まで、福島市の私立高校で英語教師をしていたが、養殖業を継いでいた弟の良満さん夫婦が、一人息子の優寿(ゆうと)くん(9)を残して津波で死亡。誰かが継がなければ廃業という状況で、転職を決意した。いけすも船も流された中で、長男の優大さん(18)と養殖を再開した。