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建設現場の最前線で活躍する鳶の本音に迫る本企画。最初に登場してもらったのは鳶として会社を興し、仲間と多くの現場を渡り歩く親方、川島工業 川島完一さん(32歳)。3回に渡り、彼の生き様をお届けしよう。
現在は17歳から30代まで9名の足場鳶を率いる川島工業の社長、川島完一さん。この世界に足を踏み入れたのは19歳のときだった。
「建設業を転々としていたときに求人情報誌のガテンを見たのがきっかけですね。足場鳶は未経験でしたが求人に応募しました。この仕事を選んだのは建設現場で足場の設営を目にすることが多かったことで、何をする仕事かがイメージできていたからかもしれません」
とはいえ、見るのと経験するのとは違う。建設現場で働いていたため体力的には問題なかったというものの、やってみて初めてわかる辛さがあった。
「夏場の作業が思っていたよりキツかったですね。冬場の寒さは動けば体が温かくなるのですが、夏は休み休み作業しないと体が持たない…」
夏の暑さ以外にも、深夜までかかる資材の片付けや集合時間が早いこともきつかった。また高さに対する恐怖もあった。
「40mくらいの高さまで足場を組むときがありますが、さすがにしびれますね。いまでもそう感じることは正直あります(苦笑)」
しかし、経験を積み現場をこなしていくことで自分に対しての自信が生まれたのだろうか。いつの間にか多くの課題を消化していたそうだ。
ただ、それを可能としたのは新人の頃に先輩の鳶から注意されたことがきっかけではないかと川島さんは話す。
「この仕事を始めたころ、現場でボーとしてしまったのですが、そのとき先輩から『おい、仕事をちゃんとやらないといつまでたっても終わらないぞ!』と注意されました。すごく単純な言葉に思えるかもしれませんが、仕事を始めたばかりの私にとって、とても心に響きました。作業をちゃんとやる。そんな当たり前のことが重要なのだとわかり、その後はそのことを意識して疲れていてもきちんと仕事をこなすようになりました」
足場鳶として13年のキャリアを持つ川島さんだが、その言葉だけでなく、先輩の存在がいまの立場を作ったといえるだろう。足場鳶とは、仲間の存在が大きな武器になる仕事なのだ。
友達にも鳶の事を教える。