ELLEGARDENが「メンバー間のモチベーションの差のせいで納得のいくものが作れそうになかったから」と活動休止をしたのが2008年。
あれから日本のロックは変化しているが、それでも根強い人気がある。
彼らのバンドとしての魅力は今でも音源や映像に残っている。
ELLEGARDENがきっかけで音楽をカッコいいと思えたり、ロックが好きになったりするようになった人がいるはずだ。
だが、その一方で活動を休止しているがために彼らのバンドとしての新しい音源を聴くことができない。
そんな人のためにELLEGARDENの魅力からおススメアーティストを紹介したい。
ELLEGARDENの魅力
ELLEGARDENの魅力は以下4つではないだろうか。
①細美武士の中性的な声
②ギターロック
③英歌詞ロック
④メロディの疾走感
ELLEGARDENは細美のヴォーカリストやソングライターとしての力を中心として、バンド全体としてギターロックを展開している。
歌詞は日本語・英語が入り混じり、英歌詞のみの曲も存在する関係で英歌詞のイメージが強いかもしれない。
楽曲の基本となっている歌詞・メロディの良さもあり、歌詞は結構抒情的なものもあったりする。
ギターロックだけれど、パンクやメロコアの要素が入っていたり、オルタナティブ・ロックの要素とポップスに見られるようなAメロ→Bメロ→サビ展開があるのだが、2000年代以降の大きなロックの括りには当てはまる。
大きな括りでいうとemo(エモ) に当てはまるだろう。
され、ここからはその魅力毎に同じ魅力をもったバンドを紹介していきたい。
①細美武士の中性的な歌声
細美武士の歌声は太さはあまりないが、突き抜けるようなハイトーンが特徴的。
太さがなく、がならないためどこか中性的に聴こえるのだ。
ここがゴリゴリのロックをやっても男臭すぎず、スマートに聴こえる理由だろう。
①-1 the HIATUS
the HIATUS - Ghost In The Rain(Music Video)
細美の声を聴きたいなら、細美が歌っているバンドを聴くのが一番早い。
反則っちゃ~反則だけど、やっぱり彼にしかない声の魅力がある。
MONOEYESというバンドも始めたけれど、まだリリース数が少ないのでthe HIATUSをおススメとしたい。
MONOEYESの方が編成的にもELLEGARDENに似ているけど、ちょっとギターサウンドが薄っぺらい。
あと、スコット・マーフィーがベースを弾いている意味が分からない。
- アーティスト: the HIATUS
- 出版社/メーカー: フォーライフミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2009/05/27
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①-2 FAT PROP
似てる似てないの話だけならば、FAT PROPのリンダの歌声だろう。
バンドの構成上、ピアノ&ヴォーカルなのでELLEGARDENというよりも、the HIATUSに近いかもしれない。
ストレートなロックに鍵盤が入ることで彩りあるサウンドになっている。
また、全体的にパンクやメロコア感のある楽曲が多いので雰囲気はかなり似ている。
- アーティスト: FAT PROP
- 出版社/メーカー: CAFFEINE BOMB RECORDS
- 発売日: 2010/09/08
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①-3 WHITE ASH
WHITE ASH / Crowds【Music Video Short Ver】
中性的な声とハイトーンボイスとして、WHITE ASHはどうだろうか。
英歌詞も難なく歌い上げるヴォーカル&ギターのび太の歌唱力はホンモノだ。
あえて違いを言うと、ストレートなロックというよりは2000年代以降の日本のバンドに多発した「頑張って工夫しました」っていうバンドアレンジをすること。(初期のチャットモンチーなんかをイメージしてもらえば分かりやすい)
リフの多用とスケールアウト、キメの多さはイマドキのバンドだ。
あとはのび太の見た目かねぇ。
「Crowds」通常盤(ホワイトアッシュver ジャケット&ブックレット)
- アーティスト: WHITE ASH
- 出版社/メーカー: バップ
- 発売日: 2013/08/21
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①-4 androp
androp 「Dreamer」 music video w/ソニー サイバーショット® RX100 IV・RX10 II
細美よりももう少し優しい歌声のandrop。
ハイトーンは出るし、がならない点は似ているかもしれない。
ELLEGARDENと比べると爽やかな印象を持つ点は大きな違いだ。
ELLEGARDENはもう少し黒が似合う歌詞が多いのだが、androp歌詞は青春感があるので、爽やかさが出てしまう。
あとはダンサブルなロックをやるのもイマドキなんだろうね。
②ギターロック
ELLEGARDENは生方の他に細美もヴォーカルの傍らギターを弾く。
ギター2本が基本構成なので、バッキングを細美が担当しリードを生方が担当することができて、アレンジの幅が広がる。
また、シンセサイザー等の鍵盤類を使わないことでストレートなロックサウンドを出すことができる。
生方があまり派手なギターソロを弾かないのも特徴。
90年代までのギターソロ全盛期を超えて、2000年代のギターソロカッコ悪い時代を経ているので、流れとしては仕方がない。
②-1 GLORY HILL
ストレートなギターロックとしてGLORY HILLはどうだろうか。
パンク・メロコアっぽさがあり、ギター2本の織りなすハーモニーはELLEGARDENのそれと重なるところがある。
ギターサウンドとしても、メタルのようなゴリゴリのドンシャリやオルタナティブロックに寄りすぎてファズのように音を潰してしまうこともない。
あくまで真空管アンプで歪ませた太い音を基本にしている点は似ている。
違うの若干日本語の歌詞がクサいことくらいか。
この辺はバンドのキャラとかにもよるのだが、良い・悪いの対象になってしまう。
明日とか未来とかを多用されすぎると、青臭くなりがちなので。
- アーティスト: GLORY HILL
- 出版社/メーカー: ULTIMATE RECORDINGS
- 発売日: 2008/09/03
- メディア: CD
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②-2 Pay money To my Pain
ちょっとへヴィなサウンドだけど、Pay money To my Pain(以下P.T.P.)も近いものがあるんじゃないだろうか。
ギターは1本だけど、音の広げ方やへヴィにリフだけゴリゴリ弾かないこともあるので、ELLEGARDENのサウンドと重なるところはある。
最も大きな違いはP.T.P.はメタルの要素が入っていること。
オルタナティブロックも要素として入っているが、メタルが入ってくるとELLEGARDENにはない要素があることになる。
ラウドロックバンドと呼ばれることもあるくらいベースの存在感がかなりあり、へヴィなサウンドを鳴らしている点も違いだ。
P.T.P.は最後のアルバム「gene」が個人的にはおススメ。
なぜ、最後なのかというとヴォーカルのKが2012年に亡くなってから活動休止してしまっているから。
②-3 Nothing's Carved In Stone
生方のギターが好きなら、生方がギターを弾いているNothing's Carved In Stoneを聴けばよい。
これもthe HIATUS同様、反則っちゃ~反則。
ご本人登場だし。
ELLEGARDENとは楽曲の雰囲気が違うので、単純に比較できないがギター2本のアレンジの仕方なんかはELLEGARDENのアレンジと方向性は似ているかもしれない。
大きな違いはリズム隊がうるさいこと。
日向秀和はいろんなところでベースを弾いて、評価が高いベーシストなのは確かだけれど、前に出る主張の強いベースを弾く。
太いだけではなく派手なサウンドで、時にスラップをしてバキバキしている。
ELLEGARDENのベース高田雄一は割と主張の少ないベースを弾く。
そして、大喜多崇規はイマドキの手数が多く、音数の多い細かいドラムを叩く。
ELLEGARDENのドラム高橋宏貴は手数の多さよりも、バンド全体のグルーヴを引っ張るようなドラミング。
音数が多く、細かいと独特のグルーヴは出るのだが、その一方でうるさく感じることもある。
この辺は好みのお話なので、お好きな方はお好きなだけどうぞ。
個人的にはNothing's Carved In Stoneの「MAZE」というアルバムがおススメ。
オルタナティヴで太いサウンドとグルーヴィなノリは最高。
昨年の下半期に聴きまくったし。
- アーティスト: Nothing’s Carved In Stone
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②-4 ASIAN KUNG-FU GENERATION
ここに出してよいのか迷ったが、日本のギターロックとしてASIAN KUNG-FU GENERATIONは外したくなかった。
ELLEGARDENともつながりがある同世代のバンドなので、ギターロックとして共通する部分はかなりある。
初期の作品はギターロック前回で、ヴォーカルのゴッチも叫びまくっているからかなりいい感じ。
違う点はあんまりパンク・メロコア感がないこと。
関連して英歌詞の曲って少ないかもしれない。
もう少しUKロックの影響を受けているので、アメリカンな雰囲気のロックが少ない。
歌詞が抽象的なところも大きな違い。
ELLEGARDEN同様売れたバンドで、ベテランの貫禄が出てきている最近の作品は新しいギターロックの未来を描いているので、今までの音楽や同じロックを求めるとちょっと違うと感じてしまうかも。
- アーティスト: ASIAN KUNG-FU GENERATION,後藤正文
- 出版社/メーカー: キューンミュージック
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③英歌詞ロック
ELLEGARDENの特徴である英歌詞。
細美が英歌詞を使う理由は音数の割に意味がたくさん詰め込めるからということらしい。
あとはロックとの相性がいい。
日本語ロックの難しさは昔から言われていることだし。
③-1 MAN WITH A MISSION
MAN WITH A MISSION 『Raise your flag』
英歌詞の上手さと発音の良さでいうと、MAN WITH A MISSIONじゃないだろうか。
もちろん、日本語の歌詞も入っているし言っていることが全く違うということもない。
ロックバンドという点でもいいところをいっている。
違うところは狼バンドであるということ。ELLEGARDENは人間がやっている。
冗談はさておき、サウンド的にはギターロックというにはDJがいたり、シンセが入っていたりとかなり音数が多い。
あとは、英語でラップをしてしまうので、その辺は違いがあるかもしれない。
Raise your flag(初回生産限定盤)(DVD付)
- アーティスト: MAN WITH A MISSION
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③-2 dustbox
英歌詞の上手さなら名前が上がるdustbox。
ハイトーンボイスとガンガン進んでいくメロコア魂あたりは似ている点。
活動歴が長いがインディーズにいるので、その辺も似ているかも。
違う点はメロコア一直線のバンドであるということ。
メロディの良さやハイテンポでガリガリ刻んでいくスタイルはELLEGARDENにもあるが、ELLEGARDENはそれだけではない。
dustboxにオルタナティブロック感がないというだけなのだ。
あとはスリーピースバンドなのでギターロック的にはあまりギターアンサンブルがアレンジとして入っていないのところが違う。
スリーピースバンドとしては非常にカッコイイバンドなのは確か。
- アーティスト: dustbox
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③-3 Hi-STANDARD
メロコア界の大御所Hi-STANDARDも英歌詞で歌っている。
英語で歌うとたくさんの人に届けられ、内容が危うくても歌えるかららしい。
メッセージ性のある歌詞ととにかく盛り上がれるメロコアの音楽性を体現しているレジェンドである。
dustboxとも重なるが、あくまでメロコアのバンドなので音楽性が異なる。
2000年までのリリースしかなく、主な活動が1990年代が中心なためサウンド的な背景もかなり違う。
あとは、Hi-STANDARDはこういうものという感じが強いので、好きになれば大好きになれるバンドだ。
- アーティスト: Hi-STANDARD,難波章浩,GOATEE,横山健
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③-4 THE MAD CAPSULE MARKETS
最後の英歌詞バンドはTHE MAD CAPSULE MARKETS。
時代的にはHi-STANDARDと重なる。
英歌詞のカッコよさはピカイチのバンドだ。
このバンドはミクスチャーバンドの走りで、デジタルを融合したロックバンドであるためサウンドがELLEGARDENのそれとはまったく異なる。
全然ギターロックではないので、その辺は分かったうえで聴くと最近のデジタルロックがこんな風に始まったんだと思えるはずだ。
SCARY -Delete streamin' freq. from fear side-
- アーティスト: THE MAD CAPSULE MARKETS
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④メロディの疾走感
メロディがキャッチーな上で疾走感があるのがELLEGARDENの良さ。
英歌詞が乗っているとさらにその疾走感が増す。
美メロとともに跳躍がある音だと疾走感が出やすい。
④-1 The BONEZ
The BONEZ / 「Place of Fire」Music Video
RIZEのJESSEがソロプロジェクトで始めたThe BONEZのメロディの疾走感がたまらないバンドの一つ。
サウンドも適度にへヴィだし、やりすぎなアレンジも良い。
また、前述したPay money To my Painのリズム隊2人が参加しているのもバンドのサウンドとしては大きい。
大きな違いがあるとすると、 JESSEはもともと声が枯れているのもあるが、がなる傾向がある。
クリーンなハイトーンボイスが好みならそれだけでNGが出てしまうかもしれない。
④-2 ONE OK ROCK
日本のロックバンドでうなぎ上りの人気があるONE OK ROCKも疾走感があるメロディが得意なバンドの一つ。
ヴォーカルのTAKAは細美とも親交があり、ヴォーカリストしてかなりの評価を得ている。
メロコア感やオルタナティブロック感があるのでかなり似ている部類に入るんじゃないだろうか。
とはいえ、ギターロックとしてのギターのアンサンブルが若干弱い。
一人で2人分のギターを弾くのは物理的に無理で、Toruのギターはシンプルに走りがち。
- アーティスト: ONE OK ROCK
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④-3 SECRET 7 LINE
SECRET 7 LINE DANCE LIKE NO TOMORROW Music Video Mobile
メロディックパンクバンドのSECRET 7 LINEもなかなかいい線いっている。
やっぱりメロコアバンドはもともとのノリもあり、疾走感を出しやすい。
英歌詞で歌うところもメロコアバンド独特かもしれない。
大きな違いはツインヴォーカルなので、2人で掛け合いをするところ。
ELLEGARDENでは見られない光景だ。
ベースのSHINJIが事故で亡くなってしまっているので、今後の活動がどうなることかと思ったが、活動は継続していて新曲のリリースもしている。
④-4 SHIT HAPPENING
日本語で歌うけど、疾走感を失わないのはSHIT HAPPENINGというバンドの良さ。
細美を好きだと公言しているアーティストで、その影響が見て取れる。
好きなものは自然に似てきてしまうし、端々で現れるものだ。
ギターヴォーカル&ギターのギター2本体制なのも、ギターロックとしての特徴が出ていてよい。
英歌詞で歌うことはほぼない点が違うし、歌声はちょっとハスキーな男声。
まだまだ若いバンドなので、楽しみなのはこれからだ。
最後に
16バンド紹介してきたが、当然ながら全く同じバンドなんて一つとしてないわけで。
全ての要素をコンプリートしたらそれはELLEGARDENなのだ。
だが、これだけバンドがあれば1つくらい気になるバンドはなかっただろうか。
それとも、やっぱりELLEGARDENが最高だと思っただろうか。
あくまで音楽を聴くための切り口なので、もっといい音楽をきくきっかけになると幸いだ。
こちらからは以上です。
- アーティスト: ELLEGARDEN
- 出版社/メーカー: Dynamord Label
- 発売日: 2008/07/02
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