はじめまして。私はホリプロ4K Projectを担当している金井塚と申します。

突然ですが"日本刀"がどのようにして作られるかご存知ですか？

一振りの日本刀が完成するまでには、実に長い道のりがあります。

砂鉄より鋼を作り、その鋼を刀身に変え、刀身を研ぎ磨き上げ、専用の鞘を作る。一振りの刀を作るだけでも1年近い時間を要します。
また日本刀は一人の職人によって作られるのではなく、複数人の職人の手により各パーツが作られ、それを全て合わせる事で完成します。

・玉鋼(たまはがね)と呼ばれる鋼を刀身に変える「刀鍛冶」

・刀鍛冶が作った刀身を研ぎ磨き上げる「研師（とぎし）」

・刀身に合わせた鞘を作る「鞘師（さやし）」

・拵（こしらえ）鞘に漆を塗る「塗師（ぬし）」

・柄部分を補強する「柄巻師（つかまきし）」

・ハバキやツバと言った金物を作り刀を彩る「白銀師（しろがねし）」
(※ハバキとは刀身の手元の部分に嵌める金具のこと)

上記したような日本各地のそれぞれの技を極めた職人たちが結集し、やっと一振りの日本刀が出来上がるのです。

このプロジェクトは、
一振りの日本刀が、このように日本各地の"現代最高峰の日本刀職人たち"により作られるまでに完全密着し、
さらにその至高の一振りを"4K"と呼ばれる高解像度の機材を使い撮影した映像作品です。

このクラウドファンディングを支援して下さった方には、この映像を収めたDVDパッケージをどこよりも早くお届け致します。

この作品は、後述する日本刀制作の一連の流れ全てに完全密着し、その"職人"と職人の"技"を徹底的に深掘りする、史上初の試みになります。

【積沸かし(つみわかし)】小割りにした玉鋼をテコに積み上げて炉で熱している様子。この後「折れず曲がらずよく切れる」刀とするため鋼を繰り返し鍛え、約33,000枚の鉄の層を作っていきます。

【火造り】鍛えられた鋼を金槌一つで刀の形にしている様子。機械で計ったように精確にかつ目にも留らぬスピードで刀身を完成させていきます。

【下地研ぎ】刀鍛冶が作った刀身を研ぎ、刃を付けている様子。全体を砥石で整えた後、磨きの工程に移ります。研師により磨き上げられた刀身は鏡のように美しく光り輝きます。

鞘師により作られた鞘は、一振りに対して一本しかありません。各日本刀に合わせた完全オーダーメイドの手仕事です。刀身が収まる穴の部分は1mm以下の隙間しかないほど正確に作られています。

【下地塗り】生漆を塗って下地を作っている様子。最終的に完成まで最低でも約2ヶ月近くかかる塗り作業は、湿度の管理を24時間体制で行っています。

【柄巻き】柄（グリップ部）に革を巻く様子。写真のような革を巻く柄は戦国時代に多かったそうです。革の下には鮫皮（エイ）が貼られ、革紐のズレ防止や握りやすさを担っています。

このように実に多くの職人の手を経て、やっと一振りの"刀"が出来ています。

密着期間：およそ15,000時間（約2年）

総撮影済み容量（収録した映像素材の容量）：約100TB（100,000GB）

では実際どのような映像なのか是非ご覧いただきたいと思いますので、現在編集中の映像を少しだけお見せいたします！（4K高画質での視聴が出来ます！）

【YouTubeを4K高画質で閲覧する方法】
①再生ボタンをクリック→②画面右下の設定マーク[歯車アイコン]をクリック→③画質=「2160p」を選んでください。「4K」とは現在TV放送の解像度の4倍の画素数を持つ超高解像度映像です。
※当プロジェクトでは全編4Kカメラでの高画質撮影を行っておりますが、DVD及びBlu-Rayでの再生は各メディアに準じた画質になります。

今を遡る事2013年末、確かCSの海外ドキュメンタリー映像だったと思います。どんな構成の映像だったのか全く覚えていませんが日本刀を取り上げた番組が放送されていました。

当時私は別の仕事で4K収録に取り組んでいました。始めて撮った4K映像を見て私はその美しさに度肝を抜かれたと同時に、4K高画質だからこそ撮る意味のあるものって何だろう？と考えてもいました。

先述した海外の刀番組を見ている時にこのように思ったのです。4K高画質で日本刀を撮ると"刃文"など細かい部分が美しく見えて面白いかも！それがこの「4K Katana Project」の始まりでした。その後企画書を会社に提出し、より刀を知るために（公財）日本美術刀剣保存協会に行き、今回の主たる吉原刀匠を紹介していただきました。2014年初頭の事です。

当初は長くても1年弱で終わるだろうと考えていた私ですが、いざ日本刀制作の現場を見させてもらうと、その考えは思慮の浅すぎる考えだと気付かされました。また撮っていく中でもっと細かく撮りたい！という欲求が大きくなり、結果約2年の歳月を費やし撮影を行う事になり、つい先日全ての工程を撮影し終えクランクアップの運びとなりました。関係各所の皆様、そして職人の皆々様、誠にありがとうございました。

今回のクラウドファンディングを使い、制作費の一部を集めれたらと思っています。

目標金額は300万円。是非よろしくお願いいたします！

・刀匠：吉原義人氏（無鑑査・東京都在住）人気、実力ともに当代随一の、現代刀匠の頂点を極めた存在。伊勢神宮の御神刀やメトロポリタン美術館、ボストン美術館に作品が所蔵されている程の、国際的にも知名度の高い刀鍛冶。

※無鑑査とは、ある特定の展覧会や団体・同人から、過去の実績を元に「（主催者側の）審査・鑑査なしで出品が可能」と認められること。その人物が該当分野で高い評価を受けていることの証明ともされ、無鑑査の刀鍛冶に関しては十数名しか存在しない。

・刀匠：吉原義一氏（無鑑査・東京都在住）36歳という異例中の異例で史上最年少無鑑査になった、現代最高峰の刀匠。国内外問わず多数のメディアに取り上げられる、名実共にナンバー1の刀鍛冶。

・研師：臼木良彦氏（無鑑査・東京都在住）人間国宝の故藤代松雄氏の弟子にして、江東区無形文化財、刀剣研磨無鑑査という現代研師の頂点の一人。同時に総合武道である「双水執流組討腰之廻清漣館」の館主という顔を持つ。

・鞘師：中島義男氏（長野県在住）吉原刀匠を始め、国内最高峰の刀匠の支持を集める鞘師。その正確無比の技により、重要刀剣（国宝などの名刀）の鞘も手掛けている。

・塗師：小山光秀氏（新潟県在住）鞘塗りを専門とする漆芸家。日本工芸会正会員。作品はMOA美術鑑賞や東京都教育委員会賞など多数の賞を受賞している。

・柄巻師：出口智之氏（福岡県在住）鞘師と柄巻師の二つの顔を持つ異色の職人。鮫（エイ）皮、絹糸、鹿革、など他の職人に比べ多くの素材を巧みに扱うスペシャリスト。

ここまで読んでいただき誠にありがとうございました。

計らずとも今、刀剣ブームが来ており、それに乗っかりたいと少しは考えておりますが、それ以上にこの「日本の伝統技術総まとめ」のような日本刀の存在を、より多くの人に、きちんと正しく知ってもらいたいと強く思っております。

約2年をかけた撮影で、日本刀職人の"技"を余すところなく収録出来たと自負しております！是非その映像を当ページをご覧の皆様に見ていただきたいと存じます。御支援の程、よろしくお願いいたします！協力：（公財）日本美術刀剣保存協会

機材協力：Blackmagic Design, Carl Zeiss

製作・著作：株式会社ホリプロ