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 安倍晋三首相は5日、東日本大震災から11日で5年を迎えるのを前に、福島県で復興の現状を視察した。政権復帰以降、被災地視察は28回目。首相は同県を水素エネルギーの供給地にする構想と実現に向けた官民会議の設置を表明し、林幹雄経済産業相に具体策の検討を今月中に始めるよう指示するとした。

 首相は震災で一時休業した農家が始めた福島市の牧場や、楢葉町の電気自動車の部品工場などを見学。視察後に「福島を日本中に水素エネルギーを供給する一大生産地にしたい」と述べ、2020年に同県で燃料電池車1万台分の水素を再生可能エネルギーからつくる「福島新エネ社会構想」を明らかにした。

 震災5年を前に、首相は「福島の復興、東北の復興は最重要課題だ。困難な生活を強いられている皆さんが元の生活に戻っていただけるよう復興を加速化していく」と強調した。

 首相の被災地視察は、12年12月の東京電力福島第一原発の視察を皮切りに、13年は11回、14年は8回、15年は6回。今年は2月に宮城県を訪問した。県別では福島は12回、宮城は10回、岩手は8回と、被災3県の沿岸部を順次視察している。(田嶋慶彦)