前人未踏の記録を次々打ち立てていく若きアスリートたち。「天才」と呼ばれる彼らを育てた親は、どのようにして我が子の才能を開花させていったのか? その子育てには「意外な共通点」がある。
まず野球の楽しさを教えた
「最初、どの選手の家でも、取材はお断りします、というお返事ばかりでした。マスコミに出たくない、という理由だけではなくて、どの親御さんも『ウチはお話しするような特別なことは何もしていないんです』という。それでもいいので、その普通の話を教えて欲しい、と粘り強く交渉して話を聞かせてもらいました。すると、彼ら"天才アスリート"の家庭には、不思議なくらい共通点が多かったのです」
スポーツジャーナリスト・吉井妙子氏はこう明かす。
二刀流の大谷翔平(21歳・日ハム)、その大谷と並び立つ阪神の若きエース・藤浪晋太郎(21歳)。「和製フェルプス」と謳われるトップスイマー・萩野公介(21歳・東洋大学)、日本で最初に10秒の壁を越える可能性を秘めたスプリンター・桐生祥秀(20歳・東洋大学)。彼らはいずれも10代のうちに頭角を現し、これからメジャーやオリンピックの大舞台で間違いなく活躍する逸材揃いだ。
新著『天才を作る親たちのルール』(文藝春秋刊)のために彼らの両親に話を聞いた吉井氏は、確かに、天才たちの家庭があまりにも「普通」なのに驚いたという。ただ、それでも天才を生む秘訣はたしかにあった。
さっそく親たちの声に耳を傾けてみよう。
大谷翔平の母・加代子さん(52歳)は言う。
「私たちには子育てのモットーなんてなかったし、家訓もありませんでした。私は子供たちが可愛い、可愛いと思いながら接してきただけ。ただ翔平は、3人兄妹の末っ子なので、子育ての経験もある程度得て心にも時間にも余裕があったのが良かったのかもしれません。そして岩手という環境にも育てられました」
父・徹さん(53歳)は社会人野球の元選手、加代子さんは中学・高校でバドミントン県代表。運動能力に秀でた両親のもと、大谷少年は家の周囲の広々とした空き地で遊び、時には母のバドミントン仲間に混じってラケットを振るなど、じっとしていない子だったという。7歳上の兄が野球を始めるとすぐに興味を持ち、小学2年生で硬式のリトルリーグに「入りたい」と徹さんに訴えた。
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