東日本旅客鉄道(JR東日本)は山手線の新型車両「E235系」の運行を7日に再開すると4日、発表した。2020年にも山手線の全車両を新型車両に切り替える方針も明らかにした。E235系は列車制御システムなど最新技術を詰め込んでいたものの、15年11月の営業開始日にトラブルが多発し、運行を取りやめていた。
新型車両は7日の午後3時18分に大崎駅を出発し、外回りを7周走る。8~9日は定期検査に入り、10日以降は限定的な車両運用をする。
山手線は1編成を11両で運行しており、現在は主力の「E231系」が51編成、新型のE235が1編成ある。7日からの運行に問題がなければ、E231の561両を順次切り替えていく。投資額は量産できるかどうかで変わるものの、おおむね1両当たり1億円強が目安とされる。単純計算すると数百億円規模になりそうだ。
新型車両は車両の位置や速度などの情報をもとにブレーキやアクセルなどを自動的に制御する新システム「INTEROS(インテロス)」を搭載。車両に取り付けたセンサーで、走りながらレールや電柱の不具合を見つけることもできるなど、最新のIT(情報技術)を盛り込んでいる。
ところが、昨年11月末の営業運転初日に「車両の頭脳」となるインテロスが想定通り動かず、本来の位置より手前で止まるなどトラブルが続出。夜には運転を打ち切った。原因とされたインテロスの修復を終えたことで、12月末から約3400キロメートルの試運転を実施し、正常に稼働することを確認したという。
JR東日本は1987年の民営化前後に採用を抑制し人員整理も進めたため、若手とベテランをつなぐ40歳代の社員の割合が1割にとどまる。ベテラン社員が退職し、技術伝承が課題となる中で、ITを積極的に導入することで対応しようとしている。新型車両もこの一環だった。