半世紀の時を経て。具体の今井祝雄「白のイヴェント×映像」
今井祝雄 白のイヴェント×映像 2016 ©Norio Imai Courtesy of Yumiko Chiba Associates / Projection Image: Kiyoji Otsuji

半世紀の時を経て。具体の今井祝雄「白のイヴェント×映像」

1966年11月11日〜16日、銀座松屋で開かれた「空間から環境へ」展は、当時アートシーンのキーワードとなっていた「環境」というテーマのもと、美術、音楽、デザイン、建築などさまざまなジャンルがクロスオーバーする歴史的な展覧会となった。この展覧会に弱冠20歳の若さで参加したのが、具体美術協会の会員のひとりでもあった今井祝雄(いまい・のりお)だ。今井の同展出品作《白のイヴェント×映像》が、このたびYumiko Chiba Associates(東京・新宿)にて、新たな改変を加えて再現される。


 具体美術協会は吉原治良の主宰のもと、関西を拠点に1954年に結成され、パフォーマンスアートやインスタレーションなど、現代美術の先駆となるような、実験的な作品を発表した前衛芸術集団(72年に解散)。当時から海外でも注目されたその活動は、「GUTAI」の名で知られ、今また国際的に再評価の気運が高まっている。

 その具体の中でも最も若い世代にあたる今井が1966年に「空間から環境へ」展に出品したのは、「隆起運動を繰り返す1m角の白いラバースクリーン4面を田の字形に壁埋めし、そこに2台のプロジェクターでカラースライドを5秒ずつ連続投影した」インスタレーションだ。この作品は、それまで制作してきた一連の白いレリーフ作品と、以降、今井が現在まで継続的に制作している映像メディアを使用した作品とを結びつける契機となった。今井自身にとっても、記念碑的な作品なのだ。

 それから50年を経て再現される本展での作品は、同展の出品作家であった写真家の故・大辻清司、故・東松照明両名から提供されたスライドフィルムの映像に、写真家・鷹野隆大の撮り下ろし作品を加えて投影する。テート・モダンで開催されている「Performing for the Camera」展(6月12日まで)に出品するなど、現在も活躍を続ける今井。今回の展示について、今井は「いっそ只の再現でないものにしたい」と新たな試みへの想いを語っている。

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今井祝雄 白のイヴェント×映像 1966 ©Norio Imai Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 なお、初日となる3月5日の17時からは、スライド用の写真を提供した鷹野隆大と、昨年今井が出展した東京国立近代美術館の展覧会「Re:play 1972/2015 ―『映像表現 '72』展、再演」の担当学芸員である三輪健仁を迎えてのトークイベントを開催する。

 50年という時間の経過によって、作品はどのように変化し、観る者はそこから何を感じ取るだろうか。

今井祝雄 白のイヴェント×映像・1966-2016
会期:2016年3月5日~4月2日
会場:Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
住所:東京都新宿区西新宿4-32-6 パークグレース新宿 #206
電話番号:03-6276-6731
開館時間:12:00~19:00
休館日:日月祝
URL:http://www.ycassociates.co.jp

【関連イベント】トークイベント
日時:3月5日 17:00〜18:30
会場:Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
登壇者:今井祝雄、三輪健仁(東京国立近代美術館主任研究員)、鷹野隆大(写真家)
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